ロシア語講座:初級

З19:行く/来る

「行く」、「来る」は普通、当然ながらそういう意味の動詞で表される。
 ところがロシア語では、かなりの「Eへ行く・来る」が、「Eにいる」で表現されてしまうのである。これはある意味、日本語訳の問題でもあるのだが、日本語とロシア語のズレとしてしっかり理解しておいた方がいい。

#170 「Eへ行く・来る」の多くが「Eにいる」で表現される。

 なお、ロシア語では「行く」と「来る」は区別しない。

 つまり、これらの表現はすべて「AはEにいた・いるだろう」で表現できるのである。

 さらには、現在時制でも「いま〜に来ている」「いま〜に行っている」という意味を表現することができる。

 なお、これらの文のうちいくつかは「行く」、「来る」という意味の動詞を使った別の文で表現できる。

 ここで1点注意。
 「今日わたしは大学に行った/行ってきた」は «Сегодня я был в университете.» である。目的地を表すのは в|на+対格だが、この文はあくまでも「ある・いる」である。だから в|на+対格ではなく в|на+前置格になる。
 「わたしはそこに行った」は、

*Я был туда.

ではなく

Я был там.

である。この点、間違えないように。

Меня не было там. ⇔ Я не был там.

 この場合、否定文では注意が必要である。

 「AがEにある・いる」が否定文になると、Aは生格になる。ところが上掲のような「行く」、「来る」の意味合いを持つ「AがEにいる」が否定されると、Aは主格のままである。

  1. Меня́ не́ было та́м.
  2. Я́ не́ был та́м.

このふたつの例文を比較してみよう。
 1) では生格 меня が用いられているので、я の存在が否定されている。つまり単純に「わたしはそこにいなかった」という意味である。
 2) では主格 я が用いられているので、я の存在そのものは否定されていない。否定されているのは был であり、この場合は「わたしはそこに行かなかった」という意味になる。

#171 「行かない・来ない」の意味で「Aがいない」を使う場合、Aは生格ではなく主格。

рубе́ж(男性名詞)境界線・ボーダーライン、国境

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最終更新日 31 08 2015

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