З12:I 式 14
зва́ть(不完) ⇔ позва́ть(完)
- 対格を呼ぶ(呼び寄せる・招く)
- 対格を造格と呼ぶ ※人名の場合は造格でなく主格も可。
※зва́ние(中性名詞)称号・肩書き
現在形・命令形の -о- は出没母音。だから当サイトの分類に従うと «削除型» である。
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | зову́ | зва́л | |
女 | звала́ | |||
ты | 男 | зовёшь | зва́л | зови́ |
女 | звала́ | |||
он | 男性名詞 | зовёт | зва́л | ||
она | 女性名詞 | звала́ | |||
оно | 中性名詞 | зва́ло | |||
мы | зовём | зва́ли | ||
вы | зовёте | зови́те | ||
они | 名詞の複数形 | зову́т |
- Ма́ма позвала́ на́с к столу́. 「ママがわたしたちを食卓に呼んだ」
- Ты́ его́ зва́л к на́м? 「お前あいつをうちに呼んだ?」
- Позови́ Же́ню обе́дать. 「ジェーニャを昼食に呼べよ」
- ─ Ка́к ва́с зову́т? 「お名前は何と仰るのですか?」
─ Меня́ зову́т Судзуки-сан. 「鈴木さんと申します」- 直訳すると、「みんなは/誰かは/人はあなたをどう呼んでいるのですか?」、「みんなは/誰かは/人はわたしを鈴木さんと呼んでいます」ということになる。だから、すでに述べたと思うが、この言い方はフルネームを聞く・言う言い方ではない。あくまでも呼び名を聞く・言う言い方なのである。
ということで、日本語としてはおかしな「鈴木さんと申します」となる。自分で自分をさん付けしているようで違和感を覚えるが、この文は別に自分で自分をさん付けしているわけではない。「他人が」さん付けしています、という文であるから、違和感を覚えるいわれはない。
- 直訳すると、「みんなは/誰かは/人はあなたをどう呼んでいるのですか?」、「みんなは/誰かは/人はわたしを鈴木さんと呼んでいます」ということになる。だから、すでに述べたと思うが、この言い方はフルネームを聞く・言う言い方ではない。あくまでも呼び名を聞く・言う言い方なのである。
- ─ Я́ Таро Ямада. Зови́те про́сто Таро или Ямада. 「山田太郎です。太郎とか山田とだけ呼んでください」
─ А меня́ зови́те Андре́й. 「わたしのことはアンドレイと呼んでください」- 本来の звать の用法からすると、主格 Андрей ではなく造格 Андреем でなければならない。下の例の通りである。しかし人名の場合は、例外的に主格が許されている。と言うより、主格の方が一般的。さらに人名に限らず、固有名詞は主格が使われることが多い。
- Его́ почему́-то зову́т «президе́нтом». 「あいつはなぜか知らないが大統領と呼ばれている」
- Ни́на его́ зовёт отцо́м. 「ニーナはかれを父と呼んでいる」
- Все́ зва́ли его́ про́сто по и́мени. 「みんながかれをただ名前でだけ呼んでいた」
- 「名前で」「苗字で」という場合、по+与格。
назва́ть(完) ⇔ называ́ть(不完) ※不完は I 式規則変化
- 対格の名を挙げる
- 対格を造格と名付ける
- 対格を造格と呼んでいる(不完のみ) =звать
※назва́ние(中性名詞)名前(事物の名称)
кандида́т(男性名詞)候補者(性不問)
зве́рь(男性名詞)獣・野獣・けだもの
- Назови́те кандида́тов. 「候補者を挙げてください」
- Фёдор назва́л свою́ до́чь Со́фьей|Со́фья. 「フョードルは自分の娘をソフィヤと名付けた」
- звать と同じく、назвать も、人名の場合は造格でなく主格も可。
- Называ́йте меня́ Таро. 「わたしのことは太郎と呼んでください」
- Все́ его́ называ́ют дурако́м. 「誰もがかれをバカだと言っている」
- Льва́ называ́ют царём звере́й. 「ライオンは百獣の王と呼ばれている」
- ロシア語で「王」を意味する名詞は король。しかしこの名詞は外来語で、「イギリス王」とか「フランス王」などの称号として、あるいはトランプやチェスのキングを意味する場合にしか使われない。その他の場面で、日常的に使われるのは царь である。
назва́ться(完) ⇔ называ́ться(不完) ※不完は I 式規則変化
- 造格と名乗る
- 造格という名である(不完のみ)
- Ка́к называ́ется э́тот теа́тр? 「この劇場は何という名前ですか?」
- Ка́к э́то называ́ется по-ру́сски? 「これはロシア語で何といいますか?」
- Э́тот цвето́к у на́с в Япо́нии называ́ется «Сакура». 「この花は日本ではサクラといいます」
бра́ть(不完) ⇔ взя́ть(完)
- 対格を取る・つかむ・手にとる
- (その他、摂取する、もらう、借りる、嫁を取る、持っていく、雇う、等々、種々の用法あり) ※英語の take に相等。
現在形・命令形の -е-、および -о- は出没母音。だから当サイトの分類に従うと、брать は «削除型»、взять は «交替型» である(-я- ⇔ -ьм-。厳密に語学的に言えば -а- ⇔ -м-)。
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
бра́ть | ||||
я | 男 | беру́ | бра́л | |
女 | брала́ | |||
ты | 男 | берёшь | бра́л | бери́ |
女 | брала́ | |||
он | 男性名詞 | берёт | бра́л | ||
она | 女性名詞 | брала́ | |||
оно | 中性名詞 | бра́ло | |||
мы | берём | бра́ли | ||
вы | берёте | бери́те | ||
они | 名詞の複数形 | беру́т | |||
взя́ть | ||||
я | 男 | возьму́ | взя́л | |
女 | взяла́ | |||
ты | 男 | возьмёшь | взя́л | возьми́ |
女 | взяла́ | |||
он | 男性名詞 | возьмёт | взя́л | ||
она | 女性名詞 | взяла́ | |||
оно | 中性名詞 | взя́ло | |||
мы | возьмём | взя́ли | ||
вы | возьмёте | возьми́те | ||
они | 名詞の複数形 | возьму́т |
мо́лча(副詞)黙って・何も言わず
отда́ть(完) ⇔ отдава́ть(不完)返却する、譲渡する
- И́ра взяла́ су́мку и мо́лча ушла́. 「イーラはバッグをつかむと、黙って行ってしまった」
- Возьми́ э́ту газе́ту. 「この新聞を手に取ってごらん/持ってってごらん」
- Лю́бишь бра́ть, люби́ и отда́ть. 「もらうのが好きなら、与えるのも好きになれ」「借りるのが好きなら、返すのも好きになれ」(ことわざ)
- この文には「もし〜なら」を意味する単語(ロシア語では普通は接続詞 если)がない。とりあえずことわざに特有の言い回しと理解しておくのがいいだろう。
- Кто́ взя́л мо́й слова́рь? 「ぼくの辞書持ってったの誰?」
- О́н всегда́ берёт зо́нтик, когда́ выхо́дит и́з дому. 「かれは家から出る時はいつも傘を持っていく」
- 厳密に言うと、「かれは家から出る際に、いつも傘をつかむ」。
- Возьми́ меня́ с собо́й. 「わたしを一緒に連れていって」
- 命令文だから、主語は ты。ゆえにこの場合 собой も ты を指す。
- Его́ ничто́ не возьмёт. 「かれを何ものも捕まえない」=「かれは何があっても大丈夫だ」「かれには何ものも手を出せない」
- Меня́ взя́л стра́х. 「ぼくを恐怖が捕らえた」=「ぼくは恐怖に囚われた」
- Маши́на берёт мно́го бензи́на. 「この車はガソリンを食う」
- Возьмём его́ приме́р. 「かれの例を取り上げてみよう」
вы́брать(完) ⇔ выбира́ть(不完) ※不完は I 式規則変化
- 対格を選ぶ
※вы́бор(男性名詞)選択
※вы́боры(複数名詞)選挙
Анастаси́я(女性名詞)女性名
пле́мя(中性名詞)種族・部族
отде́льный(形容詞)個別の・個々の・別々の
- Ле́на вы́брала кольцо́ в пода́рок ма́ме. 「レーナはママへのプレゼントに指輪を選んだ」
- Из ни́х Ива́н в жёны вы́брал Анастаси́ю. 「彼女たちの中から、イヴァンが妻に選んだのはアナスタシーヤだった」
- 辞書を見ると、жёны は複数主格である。
これは3つの点でおかしい。第一は、в という前置詞の後にあるのだから対格か前置格になるはずだ。もちろん、対格=主格という名詞もある。しかしそれは非動物名詞の話。動物名詞の場合は対格=生格であり、жена「妻」は言うまでもなく動物名詞である。だからもしこれが対格であるならば(前置格ではあり得ないから)、生格と同形 жён のはずだ。これが第二のおかしな点である。第三は、言うまでもなく、なぜ複数なのか、という点だ。жёны ではなく жены́ の間違いではないのだろうか(これなら単数生格=単数対格)。
まず確認しておくと、この жёны は複数対格=複数主格である。そう言えば、「〜をお客に招く」も пригласить кого в гости であった。ここでも動物名詞であるはずの гость が、複数対格=複数主格で使われている。なぜ動物名詞なのに対格=主格となっているのか、そもそもなぜ対格なのか、なぜ複数なのか、実はこれはかなり特殊な文法であり、ここでは説明を割愛する。現段階では「〜を妻に選ぶ」は выбрать кого в жёны という言い方をする、と覚えておいた方がいい。もっとも、覚えておいてもこの表現を使う機会はまずないだろうが。
- 辞書を見ると、жёны は複数主格である。
- Мы́ выбира́ем пода́рок для ма́тери. 「わたしたちは母へのプレゼントを選んでいる最中だ」
- ... и ка́ждое пле́мя вы́брало себе́ отде́льного царя́. 「そしてそれぞれの部族がそれぞれの王を選んだ」
- себе という与格の用法が日本人にはピンと来ないが、要するに「自分のために」ということ。「他人のために選んでやったのではなく、自分のために選び、自分の王とした」ということである。
собра́ть(完) ⇔ собира́ть(不完) ※不完は I 式規則変化
- 対格を集める
※собо́р(男性名詞)大聖堂
※собра́ние(中性名詞)集会・全体会議、コレクション
ма́рка(女性名詞)切手、ブランド・商標
скоре́е(比較級) ⇐ скоро(副詞)早く・速く
хра́брость(女性名詞)勇気・大胆さ
вы́сказаться(完) ⇔ выска́зываться(不完)自分の意見(特に賛成・反対)を述べる
- Мо́й сы́н собира́ет ма́рки. 「うちの息子は切手を集めている」
- Скоре́е собери́ свои́ ве́щи. 「さっさと荷物をまとめろ」
- Собери́ со стола́. 「食卓片付けて」
- Заче́м вы́ собра́ли та́к мно́го студе́нтов? 「何のためにあんなに大勢の学生を集めたんですか?」
- Она́ собрала́ всю́ свою́ хра́брость и вы́сказалась про̀тив нача́льника. 「彼女はありったけの勇気を振り絞って上司に反対を表明した」
собра́ться(完) ⇔ собира́ться(不完) ※不完は I 式規則変化
- 集まる
- (どこかへ行く)支度をする
- 動詞不定形することにする
※過去形におけるアクセントの位置に注意。
собра́лся |
собрала́сь |
собрало́сь |
собрали́сь |
- Студе́нты собрали́сь в аудито́рии. 「学生たちは講堂に集まっていた」
- Ма́рок собрало́сь мно́го. 「切手がたくさん集まった」
- марок は複数生格。これは много と関連しているから(数量を表しているから)。
- Куда́ ты́ собира́ешься? 「どこへ行く支度をしているの?」=「どこ行くの?」
- Мы́ собира́лись в о́тпуск. 「われわれは休暇の準備をしていた」
- В э́том году́ я́ собира́юсь занима́ться япо́нским языко́м. 「今年は日本語をやってみるつもりです」
ошиби́ться(完)
⇔ ошиба́ться(不完) ※変化形式は I 式規則変化
- 間違いを犯す
「〜を間違う」という言い方はロシア語ではしない。そう言いたい場合には、в+前置格「〜で」、о+前置格「〜について」、等々を使う。
※оши́бка(女性名詞)間違い・誤り・ミス
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | ошибу́сь | оши́бся | |
女 | оши́блась | |||
ты | 男 | ошибёшься | оши́бся | ошиби́сь |
女 | оши́блась | |||
он | 男性名詞 | ошибётся | оши́бся | ||
она | 女性名詞 | оши́блась | |||
оно | 中性名詞 | оши́блось | |||
мы | ошибёмся | оши́блись | ||
вы | ошибётесь | ошиби́тесь | ||
они | 名詞の複数形 | ошибу́тся |
- Вы́ ошиба́етесь. 「あなたは間違っている」
- 不完了体動詞の現在時制だから、「いまのあなたは間違えている」。
- Вы́ оши́блись. 「あなたは間違っている」
- 完了体動詞の過去時制だから、過去に犯された過ちをいま指摘している。つまり、「あなたはここで/あそこで間違いを犯しました」と言っているのだ。
- Вы́ ошиба́лись. 「あなたは間違えていました」「あなたは間違えたんですよ」
- 不完了体動詞の過去時制だから、「(かつて/あの当時)あなたは間違えていました」。あるいは、事実確認として「あなたは間違いを犯しました」。
- Извини́те, я́ оши́бся. 「すみません、間違えました」
- О́н ча́сто ошиба́ется в расчётах. 「かれはしょっちゅう計算違いをする」
- Я́ оши́бся а́дресом. 「住所を間違えた」
умере́ть(完)
⇔ умира́ть(不完) ※変化形式は I 式規則変化
- 死ぬ
※сме́рть(女性名詞)死
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | умру́ | у́мер | |
女 | умерла́ | |||
ты | 男 | умрёшь | у́мер | умри́ |
女 | умерла́ | |||
он | 男性名詞 | умрёт | у́мер | ||
она | 女性名詞 | умерла́ | |||
оно | 中性名詞 | у́мерло | |||
мы | умрём | у́мерли | ||
вы | умрёте | умри́те | ||
они | 名詞の複数形 | умру́т |
оди́н за други́м(熟語)次々に・後から後から・続々と
- В про́шлом году́ у меня́ умерла́ жена́. 「昨年わたしのところでは妻が死んだ」=「昨年わたしは妻を亡くした」
- Я́ за тебя́ умру́. 「ぼくは君のために死ぬ」
- 完了体は、現在形(未来時制)の一人称では、強い決意を表すことがある。
- Все́ де́ти у́мерли. 「子供たちはみな死んだ/死んでしまった」
- Де́ти умира́ли оди́н за други́м. 「子供たちは次々に死んだ/死んでいった」
- 不完了体は 1) 過程・経過、2) 反復、3) 事実確認、等々を表現する。そのため、前後の文脈次第では様々な意味になり得る。
ここでは、「次々に」ということで、ひとりの子供が死に、続いて次の子供が死んだ、という「反復」を表している。
- 不完了体は 1) 過程・経過、2) 反復、3) 事実確認、等々を表現する。そのため、前後の文脈次第では様々な意味になり得る。
- О́н умира́л от ра́ка. 「かれはガンで死にかけた/死にかけていた/死んだ」
- 「死ぬ」の過程・経過とは、死に至る過程、すなわち「死につつある」ということであり、より一般的には「死にかける」ということである。
- Я́ умира́ю от го́лода. 「腹が減って死にそうだ/わたしは餓死しかけている」
- Пу́шкин у́мер молоды́м. 「プーシュキンは若くして死んだ」
- 以下、造格の特殊な用法。文法的に言うならば «様態» を表す造格ということになる。「こういう形で・状態で・姿で・あり方で」を表す。
- Его́ сы́н у́мер ребёнком. 「かれの息子は子供のうちに死んだ」
- Мо́й де́душка у́мер свое́й сме́ртью. 「祖父は天寿を全うした」