Е26:II 式 不規則の規則
II 式の現在形には、
- アクセント移動
- 音韻交替
のふたつの不規則があるが、どちらも規則に基づいている。
アクセント移動 | 音韻交替 | |||
---|---|---|---|---|
不定形 | 変化語尾 | 元の音 | ||
現在形 | 単数 | 一人称 | 交替 | |
二人称 | 語幹 | 元の音 | ||
三人称 | ||||
複数 | 一人称 | |||
二人称 | ||||
三人称 | ||||
命令形 | 単数 | 変化語尾 | ||
複数 |
このように、я と ты の形を見比べれば、それで残りはすべてわかる。
アクセント移動の法則
II 式の現在形において、アクセントが移動する場合、そのパターンはただひとつ。
変化 | アクセントの位置 | 例 | ||
---|---|---|---|---|
不定形 | 変化語尾 | смотр-е́-ть | ||
現在形 | 単数 | 一人称 | смотр-ю́ | |
二人称 | 語幹 | смо́тр-ишь | ||
三人称 | смо́тр-ит | |||
複数 | 一人称 | смо́тр-им | ||
二人称 | смо́тр-ите | |||
三人称 | смо́тр-ят | |||
命令形 | 単数 | 変化語尾 | смотр-и́ | |
複数 | смотр-и́те |
このように、
- 不定形でアクセントが最後の音節(母音)にある動詞。
- 現在形の単数二人称・三人称・複数すべてで語幹に移動。それ以外は変化語尾(もとの位置)。
この法則は絶対である。
もっとも、「不定形でアクセントが最後の音節(母音)にある動詞」すべてでアクセント移動が起こるわけではない。どの動詞でアクセントが移動するか、法則性はないので、いちいち辞書で確認するしかない。
#122 II 式動詞の一部は、現在形で、я 以外は語幹にアクセントが移動する。
音韻交替の法則
こちらはアクセント移動よりも複雑だが、厳格な法則性がある。
現在形で音韻交替が発生するのは、語幹末尾の子音である。
- 歯音・軟口蓋音
- г ⇒ ж
- д ⇒ ж
- з ⇒ ж
- к ⇒ ч
- с ⇒ ш
- ск ⇒ щ
- ст ⇒ щ
- т ⇒ ч, щ
- х ⇒ ш
- 唇音
- б ⇒ бл
- в ⇒ вл
- м ⇒ мл
- п ⇒ пл
- ф ⇒ фл
しかも、音韻交替が発生するのは、現在形単数一人称だけである。
変化 | 音韻 | 例 | ||
---|---|---|---|---|
不定形 | 元の音 | сид-е́-ть | ||
現在形 | 単数 | 一人称 | 交替 | сиж-у́ |
二人称 | 元の音 | сид-и́шь | ||
三人称 | сид-и́т | |||
複数 | 一人称 | сид-и́м | ||
二人称 | сид-и́те | |||
三人称 | сид-я́т | |||
命令形 | 単数 | сид-и́ | ||
複数 | сид-и́те |
こちらは、音の法則であるから、辞書を見るまでもなく、語幹(変化しない部分)の最後の子音が該当する動詞はすべて音韻交替を起こす。もっとも、I 式か II 式かの区別は辞書を見ないとわからないが。
#123 II 式動詞の一部は、現在形で、я のみ子音が交替する。
ちなみに言っておくと、この法則は、音の法則であるから、動詞の変化に限らず、あらゆる場面に顔を出す。なので、覚えておくと語彙を増やす上で有用である。
- дру́г (名詞)親友 ⇒ дру́жба (名詞)友情
- сро́к (名詞)期限 ⇒ сро́чный (形容詞)期限つきの、緊急の
- прости́ть (動詞)許す ⇒ проще́ние (名詞)許し
- сухо́й (形容詞)乾いた ⇒ су́ше (比較級)
- Я́ков (男性名) ⇒ Я́ковлев (姓)