Е25:II 式 6
слы́шать(不完) ⇔ услы́шать(完)
- 対格・従属文を聞く
ただし、「聞こうと思って対格に耳を傾ける」という意味ではなく、「耳にたまたま対格が聞こえてくる」という意味。だから命令形はあり得ない。英語の hear に相当する。 ⇔ слу́шать
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | слы́шу | слы́шал | |
女 | слы́шала | |||
ты | 男 | слы́шишь | слы́шал | ― |
女 | слы́шала | |||
он | 男性名詞 | слы́шит | слы́шал | ||
она | 女性名詞 | слы́шала | |||
оно | 中性名詞 | слы́шало | |||
мы | слы́шим | слы́шали | ||
вы | слы́шите | ― | ||
они | 名詞の複数形 | слы́шат |
разгово́р(男性名詞)会話
стена́(女性名詞)壁
солове́й(男性名詞)ツグミ科の鳥
зво́н(男性名詞)金属の触れ合う音(カチャカチャ、キーキー、ゴンゴン、等々)、鐘の音
- Я́ слу́шал, но̀ не слы́шал ничего́. 「わたしは耳を澄ましたが、何も聞こえなかった」
- Вы́ слы́шите? 「聞こえますか?」
- «Вы слушаете?» は「聞いていますか?」
- Я́ пло́хо слы́шу. 「よく聞こえません」
- Я́ услы́шал разгово́р за стено́й. 「壁の向こうから話し声が聞こえた」
- Я́ когда́-то слы́шал э́ту пе́сню. 「わたしはいつだかこの曲を聴いたことがある」
- Вы́ слы́шите, ка́к поёт солове́й. 「ナイチンゲール/サヨナキドリが鳴いてるのが聞こえるでしょ」
- слышать「聞く・聞こえる」という知覚を表す動詞の従属文なので、接続詞は что ではなく как になっている。
- Я́ слы́шал, ка́к говори́т телеви́зор. 「テレビの音が聞こえた」
- Слы́шал зво́н, не зна́ешь, где́ о́н. 「鐘が聞こえたのに、それがどこだかわからない」=「何を言っているか本人にもわかっちゃいない」
- 主語のない文。たまたま省略されているわけではなく、そもそも存在しない(してはいけない)。
знаешь からわかる通り、слышал も形式上は単数二人称 ты の形。
これはかなり特殊な文なので、いずれ改めて学ぼう。この手の文は、ことわざやアフォリズムに多い。
- 主語のない文。たまたま省略されているわけではなく、そもそも存在しない(してはいけない)。
сто́ить(不完) ⇔ ―(完)
- 主格の値段が対格する
- 主格は生格の値打ちがある・に値する・ふさわしい
※сто́имость(女性名詞)価格・値段
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | сто́ю | сто́ил | |
女 | сто́ила | |||
ты | 男 | сто́ишь | сто́ил | ― |
女 | сто́ила | |||
он | 男性名詞 | сто́ит | сто́ил | ||
она | 女性名詞 | сто́ила | |||
оно | 中性名詞 | сто́ило | |||
мы | сто́им | сто́или | ||
вы | сто́ите | ― | ||
они | 名詞の複数形 | сто́ят |
морко́вь(女性名詞)ニンジン ※集合名詞的に使われるので、普通は数えない。
ты́сяча(女性名詞)1000
расхо́д(男性名詞)支出・出費(ふつうは複数)
мизи́нец(男性名詞)小指
- Ско́лько э́то сто́ит? 「これいくらですか?」
- Ско́лько сто́ят э́ти часы́? 「この時計はいくらですか?」
- Э́та кни́га сто́ит сто́ рубле́й. 「この本は百ルーブリです」
- 「100ルーブリ」とか「5時間」とか「学生3人」とか「10台の車」とか、名詞の数を表す表現というのはロシア語では少々厄介である。よって、改めて詳しく見ることにする。ここでは、とりあえず сто рублей で「100ルーブリ」という意味だ、ということだけ覚えておこう。
- Морко́вь сто́ила до́рого. 「ニンジンは高くついた」
- Маши́на сто́ит ты́сячу рубле́й. 「(この)車は千ルーブリする」
- тысяча「1000」は、ロシア語では文法上、普通の名詞である。だから、-а で終わる女性名詞として、普通の格変化をする。別の名詞(この場合は рубль)との結合については、数字について学ぶ際にあわせて学ぼう。
- Маши́на сто́ит ты́сячи рубле́й. 「(この)車は数千ルーブリする」「(この)車は千ルーブリの値打ちがある」
- тысячи は тысяча の 1) 単数生格、2) 複数主格=対格のふたつの可能性がある。単数生格だとしたら「千ルーブリの値打ちがある」、複数対格だとしたら「数千ルーブリする」。このような混乱を避けるには、単数生格には одной、複数対格には несколько を補うなどする。これについても、後ほど改めて数詞とともに説明する。
- Маши́на сто́ит ты́сяч рубле́й. 「(この)車は数千ルーブリの値打ちがある」
- Карти́на сто́ит расхо́дов. 「(この)絵は金を出す価値がある」
- О́н не сто́ит одного́ твоего́ мизи́нца... 「あいつには君の小指ひとつ分ほどの値打ちもない」(ラスコーリニコフ)
стоя́ть(不完) ⇔ ―(完)
- 立っている(立った状態で置いてある・しまってある・ある)
現在形が стоить と全く同じである。違いはアクセントの位置だけ。きちんと区別して覚えよう。
※самостоя́тельный(形容詞)自立した・独立の、一人前の、自主的な、自力の
※самостоя́тельно(副詞)独立して、独力で・自力で・自主的に
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | стою́ | стоя́л | |
女 | стоя́ла | |||
ты | 男 | стои́шь | стоя́л | сто́й |
女 | стоя́ла | |||
он | 男性名詞 | стои́т | стоя́л | ||
она | 女性名詞 | стоя́ла | |||
оно | 中性名詞 | стоя́ло | |||
мы | стои́м | стоя́ли | ||
вы | стои́те | сто́йте | ||
они | 名詞の複数形 | стоя́т |
ви́шня(女性名詞)サクラ(の木)
про́бка(女性名詞)コルク、コルクの栓、交通渋滞
о́чередь(女性名詞)順序・順番、行列
пря́мо(副詞)まっすぐ
- Кто́-то стои́т та́м. 「あそこに誰かがいる」
- На у́лице стои́т маши́на. 「道に車が停まっている」
- В саду́ стоя́ла ви́шня. 「庭にサクラの木が立っていた」
- У стене́ стоя́ло большо́е зе́ркало. 「壁際に大きな鏡があった」
- На́ш до́м стои́т нале́во. 「我が家は左手に立っています」
- Маши́ны стоя́т в про́бке. 「車が渋滞で立ち往生している」
- Рабо́та стои́т. 「仕事が止まっている」
- Мы́ до́лго стоя́ли в о́череди. 「ぼくらは長いこと行列に並んでいた」
- Сто́й! 「止まれ!」
- Сто́й пря́мо. 「ちゃんと立って(直立不動の姿勢で)」
- О́н постоя́л на углу́. 「かれは角で少し立っていた=立ち止まっていた」
- Посто́й! 「ちょっと待ってよ」「おや!」
стро́ить(不完) ⇔ постро́ить(完)
- 対格を建設する
※строи́тельство(中性名詞)建設・建築
※перестро́йка(女性名詞)改築・再編、改革・ペレストロイカ
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | стро́ю | стро́ил | |
女 | стро́ила | |||
ты | 男 | стро́ишь | стро́ил | стро́й |
女 | стро́ила | |||
он | 男性名詞 | стро́ит | стро́ил | ||
она | 女性名詞 | стро́ила | |||
оно | 中性名詞 | стро́ило | |||
мы | стро́им | стро́или | ||
вы | стро́ите | стро́йте | ||
они | 名詞の複数形 | стро́ят |
пла́н(男性名詞)プラン・計画
на+対格(前置詞)(予定)
коммуни́зм(男性名詞)共産主義
- Мо́й оте́ц постро́ил до́м са́м. 「父は自分で家を建てた」
- Мы́ стро́или пла́н на ле́то. 「われわれは夏に向けての計画を立てようとした」
- Но́вый мо́ст через э́ту ре́ку стро́ит госуда́рство. 「この川に新しい橋をかけているのは国だ」
- 形の上からは、новый мост と государство と、どちらが主語でどちらが目的語がわからない。どちらも主格=対格だから。
- Мы́ постро́им коммуни́зм. 「われわれは共産主義を建設する」
- построим は完了体動詞だから、ここで言っているのは「建設する」という行為の目的が達成されるということ。ゆえにこの文は、「われわれは共産主義を実現する」と同義。
- Та́м стро́или но́вую больни́цу. 「あそこに新しい病院が建てられていた」
- すでに出てきたが、主語がなく、動詞が複数三人称の文である。意味的には「みんなが」や「誰かが」が主語である。であるからこの文も、「(みんなが・誰かが)あそこに新しい病院を建てていた」という意味である。
さて、ロシア語では、受け身の表現「〜される」は非常に厄介である。「する」を「される」に直せばとりあえず受け身(っぽく)になる日本語とは違うのだ。詳しい話は後でやるとして、とりあえず、主語がなく、動詞が複数三人称の文もまた、受け身の表現のひとつである、ということは理解しておくといいだろう。
ということでこの文は、「あそこに新しい病院が建てられていた」という受け身表現としても理解することが可能なのである。
- すでに出てきたが、主語がなく、動詞が複数三人称の文である。意味的には「みんなが」や「誰かが」が主語である。であるからこの文も、「(みんなが・誰かが)あそこに新しい病院を建てていた」という意味である。
- Та́м постро́или но́вую больни́цу. 「あそこに新しい病院が建てられた」