Е16:I 式 6
счита́ть /щитать/(不完)
- 対格を数える ⇔ сосчита́ть|посчита́ть(完)
- 対格を勘定・考慮に入れる ⇔ ―(完)
- 対格を造格と見なす ⇔ посчита́ть(完)
- 従属文と考える ⇔ посчита́ть(完)
※счёт /щот/(男性名詞)数えること・計算・勘定、総計・カウント・スコア、領収書・レシート・請求書 ※レストラン等で支払いの時には «Счёт, пожалуйста»。
※расчёт /ращот/(男性名詞)計算・勘定、支払い・清算・決済、意図・心積もり・予定・期待・当て
※учёт(男性名詞)数えること・棚卸し、登録、考慮
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | счита́ю | счита́л | |
女 | счита́ла | |||
ты | 男 | счита́ешь | счита́л | счита́й |
女 | счита́ла | |||
он | 男性名詞 | счита́ет | счита́л | ||
она | 女性名詞 | счита́ла | |||
оно | 中性名詞 | счита́ло | |||
мы | счита́ем | счита́ли | ||
вы | счита́ете | счита́йте | ||
они | 名詞の複数形 | счита́ют |
ва́нна(女性名詞)浴槽
овца́(女性名詞)ヒツジ・雌ヒツジ
отъе́зд(男性名詞)出発(乗り物による)
о́тпуск(男性名詞)休暇
дура́к(男性名詞)バカ
- Моя́ до́чь ещё не счита́ет. 「うちの娘はまだ数が数えられない」
- ロシア語はこういう場合に「できる」を意味する単語を使わない。「数えられない」から「数えない」、「話せない」から「話さない」、「歩けない」から「歩かない」ということで、いずれも不完了体動詞で能力の有無を表現する。
- Счита́й до ста́ в ва́нне. 「浴槽で100まで数えなさい」
- 数詞の格変化はまだ学んでいないが、ста は сто「100」の生格。
- Мы́ япо́нцы счита́ем ове́ц, е́сли не спи́тся. 「わたしたち日本人は眠れない時にはヒツジを数える」
- ここでは「眠れない」を не спится としたが、別の言い方も可。спится はまだ学んでいない動詞である。
- Я́ счита́л дни́ до отъе́зда в о́тпуск. 「わたしは休暇への出発までの日を数えていた」=「わたしは指折り数えて休暇への出発を待ちわびていた」
- отъе́зд в о́тпуск で「休暇への出発」。すでに見たように、в という前置詞は対格と結合すると、目的地を表す。
- Все́ счита́ют его́ дурако́м. 「みんながあいつをバカだと思っている」
- Ка́к вы́ счита́ете? 「どう思いますか?」
- Я́ счита́ю, что ему́ пора́ домо́й. 「かれはもう帰宅すべきだと思う」
теря́ть(不完) ⇔ потеря́ть(完)
- 対格を失う
※поте́ря(女性名詞)失うこと・喪失・損失・紛失(した物)
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | теря́ю | теря́л | |
女 | теря́ла | |||
ты | 男 | теря́ешь | теря́л | теря́й |
女 | теря́ла | |||
он | 男性名詞 | теря́ет | теря́л | ||
она | 女性名詞 | теря́ла | |||
оно | 中性名詞 | теря́ло | |||
мы | теря́ем | теря́ли | ||
вы | теря́ете | теря́йте | ||
они | 名詞の複数形 | теря́ют |
кошелёк(男性名詞)財布
Ва́ся(男性名詞)男性名 Васи́лий の省略形
пе́рвый(形容詞)最初の
※в пе́рвый ра́з で「初めて」
ра́зум(男性名詞)理性
- Я́ теря́л каранда́ш. 「わたしは鉛筆を失くした」
- Я́ потеря́л каранда́ш. 「わたしは鉛筆を失くした」
- このふたつの違いは、完了体と不完了体の違い。不完了体動詞 терять を使った上の文は、ただ「失くした」という過去の事実を述べているに過ぎない。ところが完了体動詞 потерять を使った下の文は、「だからいま持っていない」を含意している。よって、「鉛筆貸して」と言われた時の答えとなり得るのは下のみ。上では答えにならない。
- Я́ потеря́л кошелёк в авто́бусе. 「バスで財布を落とした」(だからいま金を持っていない)
- Она́ неда́вно потеря́ла му́жа. 「彼女は最近夫を亡くした」(だからいま未亡人だ)
- Ва́ся сра́зу потеря́л доро́гу, та́к ка́к о́н бы́л в го́роде в пе́рвый ра́з. 「ヴァーシャはすぐに道に迷ってしまった。と言うのもこの町は初めてだったからだ」
- Ка́к то́лько послу́шал её слова́, о́н потеря́л ра́зум. 「彼女の言葉を聞くなり、かれは理性を失った」
успе́ть(完) ⇔ успева́ть(不完)
- 動詞不定形する間がある/(時間的に)動詞不定形できる ※動詞不定形は完了体動詞。
- к+与格/на+対格に間に合う
※успе́х(男性名詞)成功、人気・好評、好成績
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | успе́ю | успе́л | |
女 | успе́ла | |||
ты | 男 | успе́ешь | успе́л | успе́й |
女 | успе́ла | |||
он | 男性名詞 | успе́ет | успе́л | ||
она | 女性名詞 | успе́ла | |||
оно | 中性名詞 | успе́ло | |||
мы | успе́ем | успе́ли | ||
вы | успе́ете | успе́йте | ||
они | 名詞の複数形 | успе́ют |
за(前置詞)対格(時間)の内に・以内に
※動作の完結までに要する時間を示す。ゆえに完了体動詞とともに使われる。
- Я́ не успе́л пообе́дать. 「お昼を食べてしまう時間がなかった」
- Мы́ успе́ем к по́езду? 「列車には間に合うかな?」
- успеем は完了体動詞だから、未来時制。
- Ты́ не успе́ешь зако́нчить э́ту рабо́ту за ча́с. 「一時間でこの仕事を終わらせるなんてきみには無理だ/きみにこの仕事を一時間で終わらせられるはずがない」
- успеешь は完了体動詞だが、この場合は未来時制ではない。完了体動詞の現在形には、特殊な用法がある。それは「話者・筆者の確信」。単純に言えば、「〜のはずだ」、「そんなはずはない」というニュアンスである。つまりこの例文も、「一時間以内にこの仕事を終わらせることは時間的にできない」という表面上の意味に加え、「そうわたしは確信している」というニュアンスがある。
чита́ть(不完) ⇔ прочита́ть(完)
- 対格を読む
※чте́ние(中性名詞)読むこと・読書
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | чита́ю | чита́л | |
女 | чита́ла | |||
ты | 男 | чита́ешь | чита́л | чита́й |
女 | чита́ла | |||
он | 男性名詞 | чита́ет | чита́л | ||
она | 女性名詞 | чита́ла | |||
оно | 中性名詞 | чита́ло | |||
мы | чита́ем | чита́ли | ||
вы | чита́ете | чита́йте | ||
они | 名詞の複数形 | чита́ют |
- Мо́й сы́н уже́ чита́ет. 「うちの息子はもう文字が読める」
- Вы́ чита́ли о нём? 「かれについて読みましたか?」
- Чита́й кни́ги. 「本を読みなさい」
- Я́ чита́л рома́н «Война́ и ми́р». 「わたしは『戦争と平和』を読んでいた/読んだことがある」
- Я́ прочита́л рома́н «Война́ и ми́р». 「わたしは『戦争と平和』を読んだ(最後まで)」
- О́н чита́л де́тям «Чебура́шку». 「かれは子供たちに『チェブラーシュカ』を読んでやった」
- 本のタイトルの前に роман 「長編小説」といった類の名詞を入れるか入れないかは、どちらでもいい。ただし、入れると本のタイトルは格変化させないが、入れないと格変化させなければならない。だから «Война и мир» は格変化していないが、«Чебурашка» は格変化している。
- Чита́й мне́ что́-нибудь интере́сное. 「何かおもしろい本読んで」
- Сего́дня я́ бу́ду чита́ть каку́ю-нибудь кни́гу. 「今日は何か本を読もうと思っている」
- 日本人はどんな文にでも「思う」を入れたがる。しかし「今日は何か本を読もう」というセリフは、そう思っているから出てくるのであって、その意味では「思っている」は不要である。だからロシア語には、別に я думаю みたいな言葉は存在していない。
- わたしはまだどの本も読んでいない。「どんな本を読んでもいい」と思っている。ゆえに какую-нибудь を用いる。
- Сего́дня я́ чита́л каку́ю-то кни́гу. 「今日わたしはある本を読んだ」
- わたしはもうすでにいずれかの本を読んだわけである。それが『カラマーゾフの兄弟』か『戦争と平和』か、『猟人日記』か『エヴゲーニイ・オネーギン』か、それは文面では明示されていない。しかしどれか(あるいは別の何か)であったことは確かである。つまり、「どんな本でもいい」わけではない。ゆえに какую-то を用いる。
- Я́ не чита́ю рома́на. 「ぼくは小説なんて読まない」