ロシア語講座:初級

Е15:従属文その3

Я́ слу́шал, ка́к ма́ть разгова́ривала с ке́м-то по телефо́ну. 「母が誰かと電話でおしゃべりしているのを聞いていた」

という文で、что ではなく как が使われている。これは単純に言うと、「見る」、「聞く」といった知覚を表す動詞が что ではなく как を要求する、と考えていい。この場合、как に「どんな」という意味はなく、それどころかいかなる意味もなく、用法としては что と同じである。
 つまり、

このふたつは、意味は同じだ(と思ってもいい)からどちらを使ってもいいようなものだが、実際には что は使わない。
 ということで、とりあえずは次のように理解しておこう。

#115 知覚を表す動詞の従属文は、как で導かれる。

状況語的な従属文

 従属文には、主文の状況を説明する役割を果たすものがある。その代表例が、接続詞 когда で導かれる従属文である。

 この従属文は、что|как や疑問詞で導かれる従属文と異なり、主文との順番が決まっていない。

このふたつ、基本的には等価である。どちらも、

  1. Мне́ гру́стно.
  2. Я́ слу́шаю э́ту пе́сню.

というふたつの文を、когда という接続詞で結んだものである。
 1 と 2 のうち、どちらが主文でどちらが従属文か、別の言い方をすると、どちらの文に接続詞 когда を加えるか、これは常識の範囲内の問題であり、文法で決まっているわけではない。よって、

というように、主文と従属文とを入れ替えることができる。もちろんその場合は意味が変わってくる。言いたいことにあわせて когда を加える文を選ぶのである。
 なお、я や мне を入れるか省くかは、文法的な問題ではない。「わたし」の繰り返しを避けるためで、入れるなら主文、省くなら従属文としただけのことだ。逆でももちろん構わないし、両方に入れても問題ない。
 もちろん、主文と従属文とを入れ替えることができない場合も多々ある。

上の文はまともだが、下の文は意味が通じない。文法上は何の問題もないが、日本語でもロシア語でもこんな文は実際にはあり得ない。
 このように、主文と従属文との関係は常識で決めるべきことである。

 接続詞 когда は、同時に「いつ?」という意味の疑問副詞でもある。この点、что と同じである。ただし что と違い、когда の場合は疑問副詞だろうが接続詞だろうが、きちんとアクセントはある。

この場合の когда は「いつ?」という意味の疑問詞だから、что で導かれる従属文と同じく、主文の後に置かれる。

 主文の状況を説明する従属文を導く接続詞は、多種多様である。以下のように単純化してみる。

 派生的接続詞に分類し得るものはこのほかにも多数あるが、こうして見てもわかると思うが、結局文を導いているのは что か как である場合が多い。その意味では、従属文を導く基本的接続詞として

  1. 目的語的な従属文をつくる接続詞(主文の後)
    1. что|как : 名詞節をつくる ≒ that
    2. すべての疑問詞(что、как も含む)
  2. 状況説明の従属文をつくる接続詞(主文の前後どちらも可)
    1. когда : 時を表す「〜な時に」 ≒ when
    2. если : 条件を示す「もし〜なら」 ≒ if
    3. пока : 時間的限界を示す「〜まで・〜の間」 ≒ while

をしっかりと覚えておこう。
 ただしそれぞれの接続詞の意味・用法については、辞書の扱うべき事項なので、ここでは詳述しない。以下、さらに動詞を学んでいく中で具体的な使用例を見ていこう。

#116 主文の状況を説明する従属文は、様々な接続詞に導かれる。主文との順番も、前でも後でも可。

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最終更新日 02 07 2015

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