В13:形容詞の複数形
名詞が複数になれば、形容詞の語尾も複数形になる。
幸いなことに、形容詞には、名詞のような複雑性はない。
- 複数になると性の区別が消失し、修飾する名詞の性によらずすべて同じ語尾。
- アクセントの位置は移動しない。
- 不規則変化は存在しない。
硬音変化と軟音変化の違い、それに正書法によるしばりが、形容詞の複数形語尾における揺らぎのすべてである。
硬変化 | 軟変化 | |
---|---|---|
男性 | -ые | -ие |
女性 | ||
中性 |
#23 形容詞の複数形に性の区別はない。いかなる不規則もない。
- 男性名詞を修飾
- весёлые студе́нты 「陽気な大学生」
- здоро́вые ма́льчики 「健康な少年」
- 女性名詞を修飾
- вку́сные соси́ски 「おいしいウィンナー」
- бли́жние ста́нции 「最寄の駅」
- хоро́шие студе́нтки 「優秀な大学生」 ※正書法の都合で -ие
- 中性名詞を修飾
- но́вые слова́ 「新しい言葉(単語)」
- высо́кие зда́ния 「背の高い建物」 ※正書法の都合で -ие
正書法の規則では、г,к,х,ж,ч,ш,щ の後に ы を書いてはいけない。代わりに и を書く。
主語と述語の数の一致
原則として、主語と述語の数は一致する。
- Се́рьги ─ его́ пода́рки. 「(この)イヤリングはかれのプレゼントだよ」 ※イヤリングは単数形だと「片方」の意。
- Мои́ сыновья́ ─ студе́нты. 「うちの息子たちは大学生です」
- Кни́ги но́вые. 「(これらの)本は新しい」
- Часы́ то́чные. 「(この/これらの)時計は正確だ」
複数名詞を修飾する形容詞は、たとえその複数名詞が実際には単数の意味であったとしても、複数形になる。つまり、意味ではなく形に従うのである。
#24 「AはBだ」のAとBとで、数は基本的に一致する。
なお、話の流れからして、最初の例のような文では数が一致しないこともあり得る。特に次のような場合。
- Его́ пода́рок ─ се́рьги. 「かれのプレゼントはイヤリングだ」
特に、複数名詞が別の名詞とともに用いられるには、原則として «主語と述語の数が一致しない» と考えておいていい(とりあえず現段階では)。
- Де́ньги ─ де́ло наживно́е. 「金は手に入れようと思えば手に入れられる」(ことわざ「金は天下のまわりもの」)
- Столи́ца Гре́ции ─ Афи́ны. 「ギリシャの首都はアテネだ」 ※まだ学んでいない文法を使っている。
この点において、主語と述語の数の一致の問題は、性の一致の問題と似ている。