ロシアの皇位継承

現在、ロシアに帝政が復活する可能性は限りなくゼロに近いと言っていいだろう。ゆえに、現在の皇位継承にかんする議論はすべて衒学趣味でしかない。とはいえ、ロシアの皇帝を論じてこの問題を素通りするのもどうかと思ったので、とりあえず論じてみる。

 ロシア皇位の継承は、まさに論じるべき大問題である(現実的な意味は持たないが)。と言うのも、万人が認める筆頭皇位継承権者が存在せず、複数の主張が対立している状況にあるのだ。
 ロシアほどこの問題が紛糾しているところもない。つまりは、どこもロシアほど貴賎結婚の問題にはうるさくないのだ。

 ロシアの皇位継承が紛糾している最大の原因が、こんにちでは時代錯誤な «貴賎結婚» にある。
 一言で言えば、ロシアの皇位継承法では、皇族が結婚するに相応しい家系というものを非常に狭くとらえており、そのため大概の結婚は貴賎結婚とならざるを得ないのだ。
 しかも貴賎結婚から生まれた子やその子孫には、皇位継承権はいかなる場合であれ認められない。
 もしロマーノフ家の基準で結婚相手を判断し、それに基いて継承権の有無を決めるならば、オルレアン家(フランス王家)では現在の筆頭王位継承権者以外には継承権者はいなくなる。ハプスブルク家では現在の筆頭皇位継承権者とその次男以外は全滅。ホーエンツォレルン家(ドイツ皇帝家)も数年後には継承権者がいなくなるだろうし、ブラガンサ家(ポルトガル王家)などはとうの昔に断絶していることになる。

 もうひとつ、ロシアの皇位継承を巡る議論を複雑にしている大きな要因は、女系による継承を最終手段として認めている点にある。
 かつてのフランスのように一切認めないか、あるいは現在の北欧などのように完全に男女同権とするか、であれば事は単純明快である。そこまで行かずとも、イギリスやスペインのように男系優先としつつも女系による継承を大幅に認めていればまだしもであったろう。
 ところがロシアの皇位継承法では、男系が全滅した場合にのみ女系による継承を認めている。このため、継承権の有無と並んで、その優先順位が大問題となるのだ。

 具体的な問題点を論じる前に、そもそも皇位(王位)継承のルールとはどのようなものかを論じておきたい(皇位継承法)。これは一般論であり抽象論なので、読まずに飛ばしてくれてもかまわない。
 次に、具体的にロシアにおける皇位継承法を、時代を追って見ておこう(ロシアの皇位継承法の変遷)。これまたここで論じる問題とは直接的にはかかわらないので、飛ばしてもらって結構だ。
 ロシアにおいては1797年に皇位継承法が制定されている。その条文を次に確認しておきたい(基本国家法典)。ただし必要な部分はその都度引用するつもりなので、これまた飛ばしてもらっていい(必要に応じてその都度参照してもらいたい)。
 そしていよいよ本題、ロシアの皇位継承法の問題点に移る。その問題点を洗い出しておこう(ロシアの皇位継承法の問題点)。これは少々抽象的な議論になるだろう。
 最大の問題である結婚相手についてはページを変えて、相応しい家系とはどのようなものかを別途単独で論じておく必要があろう(«君主» の家系)。
 続いて、1917年の革命時点での皇位継承権者を確認しておく(革命時の皇位継承権者)。
 そして最後に、現在の、ロシアの皇位継承に関する様々な主張を見て、誰に権利があるのかないのか、誰が優先するのか、一応の見解を示しておきたい(皇位継承権の現在)。と思ったが無理だった。さまざまな主張を整理するだけに終わってしまった。

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最終更新日 17 01 2013

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