ロシア・ソ連の国歌

Рабочая Марсельеза/La Marseillaise
労働者のマルセイエーズ

作詞・作曲:ルジェ・ド・リール музыка и слова Клода Жозефа Руже де Лиля/Claude Joseph Rouget de Lisle
ロシア語歌詞:ピョートル・ラーヴロフ русский текст Петра Лавровича Лаврова

Отречёмся от ста́рого ми́ра,
Отряхнём его́ пра́х с на́ших но́г!
На́м не ну́жно злато́го куми́ра,
Ненави́стен на́м ца́рский черто́г!
Мы́ пойдём к на́шим стра́ждущим бра́тьям,
Мы́ к голо́дному лю́ду пойдём,
С ни́м пошлём мы́ злоде́ям прокля́тья ─
На борьбу́ мы́ его́ позовём.

Встава́й, подыма́йся, рабо́чий наро́д!
Иди́ на врага́, лю́д голо́дный!
Разда́йся, кли́ч ме́сти наро́дной!
Вперёд, вперёд, вперёд, вперёд, вперёд!

Бога́чи-кулаки́ жа́дной сво́рой
Расхища́ют тяжёлый тво́й тру́д.
Твои́м по́том жире́ют обжо́ры,
Тво́й после́дний кусо́к они́ рву́т.
Голода́й, чтоб они́ пирова́ли,
Голода́й, чтоб в игре́ биржево́й
Они́ со́весть и че́сть продава́ли,
Чтоб глуми́лись они́ над тобо́й.

Тебе́ о́тдых ─ одна́ лишь моги́ла.
Ве́сь сво́й ве́к недои́мку гото́вь.
Ца́рь-вампи́р из тебя́ тя́нет жи́лы,
Ца́рь-вампи́р пьёт наро́дную кро́вь.
Ему́ нужны́ для во́йска солда́ты ─
Подава́йте ему́ сынове́й.
Ему́ нужны́ пиры́ и пала́ты ─
Подава́й ему́ кро́ви свое́й.

Не дово́льно ли ве́чного го́ря?
Вста́нем, бра́тья, повсю́ду зара́з ─
От Днепра́ и до Бе́лого мо́ря,
И Пово́лжье, и Да́льний Ка́вказ ─
На воро́в, на соба́к ─ на бога́тых
И на зло́го вампи́ра-царя́.
Бе́й, губи́ и́х, злоде́ев прокля́тых,
Засвети́сь, лу́чшей жи́зни заря́.

И взойдёт за крова́вой зарёю
Со́лнце пра́вды и бра́тской любви́,
Хоть купи́ли мы́ стра́шной цено́ю ─
Кро́вью на́шею ─ сча́стье земли́.
И наста́нет годи́на свобо́ды:
Сги́нет ло́жь, сги́нет зло́ навсегда́,
И солью́тся в одно́ все́ наро́ды
В во́льном ца́рстве свято́го труда́.

古き世界は棄て去ろう!
その埃を脚から払いのけよう!
金色の偶像は我らには不要だ
ツァーリの宮殿は虫酸が走る
我らは苦しむ兄弟のもとへ行く
飢えたる人のもとへ行く
彼らと共に悪人どもに呪いを送る
彼らを闘争へと招く

起て 勤労大衆よ!
敵に立ち向かえ 飢えたる人よ!
響け 人民の復讐の叫びよ!
前へ!

貪欲な富者どもが
君の重労働を盗み取る
君の汗で食いしん坊どもが肥え太る
君の最後の糧までも奪い取る
やつらの酒宴のために君は飢える
マネーゲームのために飢える
やつらは良心と名誉を売り
君を愚弄するのだ

君の休息は墓場だけ
生涯を通じて滞納金を準備しろ
吸血鬼ツァーリは君を困憊させる
吸血鬼ツァーリは人民の血を飲む
奴には軍隊のための兵士が必要だ
奴に息子たちを引き渡すがいい
奴には宴会と宮殿が必要だ
奴に己が血を引き渡すがいい

永遠の苦しみは充分だろう?
立て 兄弟たちよ 到る所で一斉に
ドニェープルから白海まで
ヴォルガ沿岸でも カフカーズでも
盗人に 犬に 富者に対して
そして悪の吸血鬼ツァーリに対して
叩け 根絶やしにしろ 奴ら呪われし悪人どもを
輝きだせ より良き人生の夜明けよ

そして登る 血の色をした朝焼け空に
真理と友愛の太陽が
われらは法外な値段 自らの血で
地上の幸福を購ったのだ
そして自由の時が訪れる
虚偽は消える 悪は消える 永遠に
あらゆる民族がひとつに合流する
聖なる労働の自由な国で

 言うまでもなく、現フランス国歌。
 1791年、革命フランスに侵攻するオーストリア軍との戦闘の最前線にあったルジェ・ド・リールが一気呵成に書き上げたもの。フランス各地からパリに集結していた部隊の中で、マルセイユからの部隊がこの歌を歌いながら行進していたので、『ラ・マルセイエーズ』と呼ばれるようになった。本来マルセイユとは何ら関係がない。

 帝政時代の1875年にロシア語の歌詞が書かれたが、これはフランス語の翻訳ではない。しかし革命家ラーヴロフの書いた詩はまたたく間にロシアの革命家たちの間に広がり、『労働者のマルセイエーズ』は労働運動、革命運動の歌として定着していった。
 労働運動、革命運動の歌としては、世界的には『インターナショナル』があるが、こちらはロシア語の歌詞ができたのが1902年。そのため、ロシアでは少々馴染みが薄かったようだ。

 1917年、二月革命により帝政が崩壊すると、臨時政府は新国家建設に乗り出すが、しばらくは国家のシンボルとして帝政時代のものを流用していた。と言うより、そんな瑣末事にかまけるだけの時間的・心理的余裕がなかったのだろう。三色旗も双頭の鷲も相変わらず使われていた。だが、さすがに『神よ、ツァーリを護り給え』はまずいと思ったのか、代わりに国歌に準ずる扱いを受けたのが『労働者のマルセイエーズ』である。
 臨時政府の会合、外国使節の歓送迎、劇場での上演の際などで『労働者のマルセイエーズ』が歌われ、法的に定められはしなかったものの事実上の国歌としての役割を果たした。

 二月革命後、臨時政府は国旗として三色旗の流用を決めたが、首都に集結した労働者たちはそれを無視して赤旗を掲げた。臨時政府は、そもそも帝政を倒したのが労働者であったこともあってか、ペトログラードの労働者農民代表ソヴィエトと権力を二分していたところがあり、労働運動のシンボルがペトログラードでは幅をきかせていた。『労働者のマルセイエーズ』が事実上の国歌として使用されたというのも、おそらくそういうことが背景としてあったのだろう。本来の『ラ・マルセイエーズ』は別に労働者の歌でも何でもないが。
 またうがった見方としては、当時ともにドイツと戦っていたフランスからの支援を当て込んだ、という意見もある。
 そう、本来の『ラ・マルセイエーズ』は労働者の歌でも何でもなく、ブルジョワ国家フランスの歌である。そして正真正銘の労働者の歌が『インターナショナル』である。レーニンが帰国した時に民衆は『労働者のマルセイエーズ』で出迎えたが、レーニンが『インターナショナル』を歌おうと提案すると、歌声はまばらにしか起こらなかったと言う。歌詞を知らなかったのだ。ところがその後急速に『インターナショナル』は普及し、やがて «ブルジョワ国歌『労働者のマルセイエーズ』» と «社会主義国歌『インターナショナル』» とが対立する図式が生まれた。そのため十月革命でボリシェヴィキーが権力を握ると、『労働者のマルセイエーズ』はあっと言う間にその地位を失った。

 ちなみにこのロシア語の歌詞もかなり強烈だが、フランス語の歌詞もいささかどぎつい語句があったりして、1992年のアルベールヴィル・オリンピックの開会式でローティーンの女の子が独唱した際には「この歌詞は幼い子に歌わせるべきではない、変えるべきだ」などという議論が起こった。何をいまさら。

Midi音源について

 原則として Г. В. Калашников. Гимны России. М., 2006 所収の楽譜に従ったが、都合により多少アレンジを加えたところもある。
 作成は Studio ftn Score Editor による。フリーで提供してくださっている作者様(Studio ftn)には、この場を借りてお礼申し上げる。
 この音楽ファイルや演奏について何か問題があれば、わたしが音楽には素人であること(楽譜の読み方も知らない)、このソフトの使い方に習熟していないこと、音楽ファイルについては何も知らないこと、等によるものであり、Г. В. Калашников. Гимны России や Studio ftn Score Editor とは基本的に無関係である。

 お聞きになられればわかると思うが、オリジナルの『ラ・マルセイエーズ』とはメロディが少々違う。

 marselieza.mid

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最終更新日 17 01 2013

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