ロシア・ソ連の国歌

Молитва Русских
ロシア人の祈り

作曲:不明(イギリス国歌のメロディ) по музыке «God Save the King»
作詞:ヴァシーリイ・ジュコーフスキイ & アレクサンドル・プーシュキン слова Василия Андреевича Жуковского и Александра Сергеевича Пушкина

Бо́же, Царя́ храни́!
Сла́вному до́лги дни́
Да́й на земли́!
Го́рдых смири́телю,
Сла́бых храни́телю,
Все́х утеши́телю ─
Всё ниспошли́!

Перводержа́вную
Ру́сь правосла́вную
Бо́же, храни́!
Ца́рство е́й стро́йное!
В си́ле споко́йное!
Всё ж недосто́йное
Про́чь отжени́!

О, Провиде́ние!
Благослове́ние
На́м ниспошли́!
К бла́гу стремле́ние,
В сча́стье смире́ние,
В ско́рби терпе́ние
Да́й на земли́!

神よ ツァーリを護り給え
栄えある者に長き時を
もたらし給え
驕れる者を鎮撫する者に
弱き者を護る者に
あらゆる者を慰める者に
すべてを与え給え

最も偉大な
正教のルーシを
神よ 護り給え
調和した帝国を
平穏なる帝国を
価値なきものはすべて
追い払い給え

神意よ
祝福を
我らに給え
善への渇仰を
幸福における謙虚さを
悲哀における忍耐心を
もたらし給え

 国歌の起源は、単純化して言うと、18世紀につくられた現イギリス国歌『God Save the King』にある(いまはエリザベス2世が女性なので『God Save the Queen』となっている)。この曲を羨んだ各国の君主や音楽家たちが、これを模倣して君主を讃える歌をつくったのが、国歌がヨーロッパ各国に広まる契機となった。現ドイツ国歌も、本来はヘンデルがつくった、時の神聖ローマ皇帝フランツ2世を讃える歌である。
 国歌がヨーロッパ各国に広まるもうひとつの契機は、各民族のナショナリズムを目覚めさせたナポレオン戦争であると言っていいだろう。しかもナポレオンと戦って最後まで屈しなかった唯一の国がイギリスである。このため『God Save the King』はヨーロッパ中を風靡し、そのメロディはそのまま各国で流用された。

 『ロシア人の祈り』は、1815年に雑誌に発表されたジュコーフスキイの詩である。1816年、これにプーシュキンが手を加えている。さらにジュコーフスキイ自身が改めて手を入れ、本来の詩は全部でこの倍になっている。
 1816年、ツァールスコエ・セローのリツェイ(プーシュキンが学んでいた)で、皇帝アレクサンドル1世を迎えた時、この詩が『God Save the King』のメロディにあわせて歌われた。さらにアレクサンドル1世がポーランド王としてセイム(ポーランド国会)に初めて臨んだ際にも歌われている。文献によってはこちらが『ロシア人の祈り』の歌われた最初であるともされている。
 いずれにせよ、以後、教育機関や軍隊で歌われるなど、国歌としての役割をほぼ果たしていたと言える。

 ただし、法律的な話として、正式な国歌と言えるかどうか、いまだ議論に決着がつかない。
 1833年に『神よ、ツァーリを護りたまえ』がつくられるに及んで、『ロシア人の祈り』は姿を消した。

Midi音源について

 原則として Г. В. Калашников. Гимны России. М., 2006 所収の楽譜に従ったが、都合により多少アレンジを加えたところもある。
 作成は Studio ftn Score Editor による。フリーで提供してくださっている作者様(Studio ftn)には、この場を借りてお礼申し上げる。
 この音楽ファイルや演奏について何か問題があれば、わたしが音楽には素人であること(楽譜の読み方も知らない)、このソフトの使い方に習熟していないこと、音楽ファイルについては何も知らないこと、等によるものであり、Г. В. Калашников. Гимны России や Studio ftn Score Editor とは基本的に無関係である。

 ちなみに過剰装飾気味の編曲は、言うまでもなくわたしではなく、たぶん Г. В. Калашников. 所収の楽譜を提供したグラチョーフとかいう人。

 molitva_russkikh.mid

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最終更新日 17 01 2013

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