ダニイール・ボリーソヴィチ
Даниил Борисович
ニージュニー・ノーヴゴロド大公 великий князь Нижегородский （1411-14）
生：?
没：?
父：ニージュニー・ノーヴゴロド大公ボリース・コンスタンティーノヴィチ （スーズダリ公コンスタンティーン・ヴァシーリエヴィチ）
母：アグリッピナ （リトアニア大公アルギルダス）
結婚：?
子：?
第１５世代。モノマーシチ（スーズダリ系）。
生年は不明。父は1353/54年にリトアニア大公アルギルダスの娘と結婚しており、彼女の没年は1393年とされている。とするとダニイール・ボリーソヴィチの母親は彼女に違いなく、となれば生年は1355年頃と考えていいだろう。
ところが一部文献では弟のイヴァン・トゥゴーイ・ルークの生年が1370年とされている。ダニイール・ボリーソヴィチも1360年代後半の生まれだったのか（だとすると結婚してからあまりに遅すぎないか？）、歳の離れた兄弟だったのか、参考にした文献が間違えているのか。
1392年、モスクワ大公ヴァシーリー１世がトクタミシュからニージュニー・ノーヴゴロドの領有を認められた。モスクワ軍はニージュニー・ノーヴゴロドに侵攻し、ダニイール・ボリーソヴィチは父ともども捕らえられた。
その後逃亡したダニイール・ボリーソヴィチは、当初キプチャク・ハーンのもとに、続いてヴォルガ・ブルガールのもとに身を寄せる。
1411年、弟イヴァン・トゥゴーイ・ルークとともに、モルドヴァー人やブルガール人を率いてニージュニー・ノーヴゴロドを攻略。ヴァシーリー１世が派遣したドミートロフ公ピョートル・ドミートリエヴィチの軍を撃破する。
さらにニジェゴロド・タタール連合軍を派遣し、ヴラディーミルを破壊する。
1412年、ハーンよりニージュニー・ノーヴゴロド支配の認可状をもらう。
1395年にティムールによって一旦崩壊させられた後、キプチャク・ハーンはその権威を大きく失墜させていた。この当時はエディゲイが実権を握り、これとあるいは結び、あるいは敵対して、1412年の１年間にティムール、ジャラール・アッ＝ディーン、カリム・ベルディと３人のハーンが交替している。
ただしこの辺り、史料の混乱により正確にはよくわからない。ダニイール・ボリーソヴィチに認可状を与えたハーンが誰だったのかもはっきりしないが（ジャラール・アッ＝ディーン？）、どうやらその直後に政変が起こったらしく、新しいハーン（カリム・ベルディ？）は改めてヴァシーリー１世にニージュニー・ノーヴゴロドの支配を認めた。
その後もダニイール・ボリーソヴィチはニージュニー・ノーヴゴロドに依ってヴァシーリー１世に抵抗。1414年、ついにユーリー・ドミートリエヴィチによってニージュニー・ノーヴゴロドから追われた。
その後は各地を転々として支援を求めたが得られず、ついに1417年、イヴァン・トゥゴーイ・ルークとともに自らモスクワに赴き、ヴァシーリー１世と講和した。
1418年からイヴァン・トゥゴーイ・ルークとともにニージュニー・ノーヴゴロドに居住した。ただしこれはそうではなく、ボリーソヴィチ兄弟が再びヴァシーリー１世と対立し、モスクワからニージュニー・ノーヴゴロドに逃亡したのだ、とする文献もある。
以後の消息は不明。