南西ドイツのバーデン家(ツェーリング家)は、シュヴァーベン地方の名門である。ドイツとイタリアの境界に位置し、辺境伯として大きな権限を与えられてきた。
バーデン家はドイツ諸侯の通例に漏れず複数の分家に分かれ、領土も細分化されたが、最終的にはカトリックのバーデン=バーデン、プロテスタントのバーデン=ドゥルラハのふたつに整理統合される。各国王家とも婚姻関係を結び、何人もの王妃を輩出してきたが、なぜか王位が巡ってくることはなかった。
18世紀末、分家がことごとく断絶し、バーデン家領はバーデン=ドゥルラハ系により再統一された。その直後、ナポレオンにより大公の称号を与えられ、領土も5倍に拡大。隣接するヴュルテンベルク同様、ハプスブルク家に対抗し得る南ドイツ勢力として期待されたのだろう。
しかし所詮そのような役割を果たせるはずもなく、1871年にはプロイセンの軍門に下ってドイツ帝国に統合され(帝国内の大公国として存続)、1918年、君主制が廃止される。
ちなみに、大公カール(アレクサンドル1世妃エリザヴェータ・アレクセーエヴナの弟)の長男がカスパー・ハウザーだ、という説がある。
また、ニコライ1世の曾孫マクシミリアン(現当主マックスの祖父)は、ドイツ帝国最後の宰相である。
現当主バーデン辺境伯マックスは、父方からも母方からもニコライ1世の血を引いている。
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赤枠はツァーリ・皇帝。水色枠はバーデン家。赤紫枠は女性。