дробное имя числительное
文法の本で «分数詞» という分類が挙げられることが多いが、これは数詞の使い方、あるいは要は表現の問題であると言うべきだろう。ゆえに科学アカデミー版『ロシア語文法』(1982年)も分数詞を文法概念としては扱っていない。
ロシア語には小数独自の言い方が存在しないので、小数は分数として読む(考えてみれば日本語にも小数独自の言い方は存在していない)。なお、ロシア語では小数点はピリオド . точка ではなくコンマ , запятая (*3.14 ⇒ 3,14)。
原理
分数の読み方の原理を、次のように説明してみよう。
分数とは、「1を分割した数」である。この場合の「1」は個数詞としての1ではなく「欠けることのない全体」としての1 целая единица である。единица をいくつかに分割した「部分」が分数である。この「部分」には、доля ないし часть が用いられる(どちらを用いてもいい)。すなわち、「1の、いくつかに分割されたその1部分」は доля единицы となる。これが分数の基本である。
「1の、いくつかに分割されたその1部分」が1つであれば одна доля единицы、2つであれば две доли единицы、3つであれば три доли единицы、5つであれば пять долей единицы、、、等々。
ただしこれではまだ重要な要素が欠けている。すなわち、「いくつに分割されたか」である。ロシア語ではこれを順序数詞で表す。2つに分割された1部であれば вторая доля、3つに分割された1部であれば третья доля である。「1の、2つに分割された部分」は、вторая доля единицы であるが、これが1つであれば одна вторая доля единицы でいい。しかし2つであれば、個数詞+形容詞(この場合は順序数詞)+名詞の結合の規則に従い、две вторых доли единицы となる。これが 2/2 である。
ただし、すべてにおいて доли единицы ないし долей единицы は共通するから、この部分は省略され、две вторых で済まされてしまう。
以下同様に、
- 1/3 : одна третья
- 2/3 : две третьих
- 3/5 : три пятых
- 5/10 : пять десятых
- 7/15 : семь пятнадцатых
- 9/21 : девять двадцать первых
- 51/52 : пятьдесят одна пятьдесят вторая
- 42/99 : сорок две девяносто девятых
- 21/100 : двадцать одна сотая
- 25/133 : двадцать пять сто тридцать третьих
- 123/456 : сто двадцать три четыреста пятьдесят шестых
このように、結果として分数詞は、
- 分子は個数詞(女性)
- 分母は順序数詞
- 分子最後の数詞が одна : 分母の順序数詞は単数女性主格
- それ以外 : 分母の順序数詞は複数生格
帯分数
上述のように、分数における「1」は個数詞としての1ではなく「欠けることのない全体」としての1 целая единица である。ゆえに、1と3/4 は、「欠けることのない全体としての1が1つ、&、3/4」と理解する。ゆえに один и три четвёртых ではなく одна и три четвёртых である。これは厳密に言えば、одна целая единица и три четвёртых доли/части единицы と読む。
ゆえに、帯分数における整数部分は常に女性である。また整数部分と分数とは и で結んでもいいし、и を略してもいい。ただし и を略す場合には整数部分を明示するために целая/целых を添える。 ⇔ одна целая три четвёртых
- 2と9/12 : две и девять двенадцатых ⇔ две целых девять двенадцатых ⇔ две целых и девять двенадцатых
- 9と7/22 : девять и семь двадцать вторых ⇔ девять целых семь двадцать вторых ⇔ девять целых и семь двадцать вторых
小数
ロシア語では小数は分数として読む。
0,1 は 1/10 のことである。ゆえに одна десятая。0,2 は 2/10 であるから две десятых。また 0,01 は 1/100 であるから одна сотая。0.001 は одна тысячная。0,0001 は одна десятитысячная。
なお、以下の例では整数部分には целых を使っているが、上述のように代わりに и でも целых и でも可。
- 0,123 : (ноль целых) сто двадцать три тысячных
- 3,14 : три целых четырнадцать сотых
- 2,034 : две целых тридцать четыре тысячных
このように、小数の言い方は次のように整理することができるだろう。
- 整数部分は帯分数の整数部分と同じ。
- 小数点以下は、
- 普通の個数詞として読む(ただし女性)。
- 最後に、桁に応じて десятая、сотая、тысячная 等々(の適切な形)をつける。
ただし小数点以下が4桁(десятитысячная)以上になると、さすがのロシア人でもわずらわしいと思うのか、次のような言い方も用いられる。
- 1,0004 : одна целая три ноля четыре
- 2,0015 : две целых два ноля пятнадцать
- 3,08515 : три целых ноль восемьдесят пять пятнадцать
- 4,12034 : четыре целых двенадцать ноль тридцать четыре
- 5,40302 : пять целых сорок триста две
- 6,00687 : шесть целых два ноля шестьсот восемьдесят семь
すなわち、
- 小数点以下の0は「0がいくつ」と言う。
- 小数点以下の0以外の数字は2桁づつまとめて言う。
- 小数点以下の0以外の数字が奇数の場合、最後の3桁をまとめて言う。
3桁以下でこの言い方をするのは口語。
格変化
分数詞の格変化は、面倒ではあるが、理屈は個数詞と形容詞・名詞の結合の法則そのままである。よって、個数詞の格変化が身についていれば何でもない。2と9/12 で例を挙げてみる。
格 | フルバージョン | 実際の読み方 |
---|---|---|
主 | две целых доли единицы и девять двенадцатых долей единицы | две целых и девять двенадцатых |
生 | двух целых долей единицы и девяти двенадцатых долей единицы | двух целых и девяти двенадцатых |
与 | двум целым долям единицы и девяти двенадцатым долям единицы | двум целым и девяти двенадцатым |
対 | две целых доли единицы и девять двенадцатых долей единицы | две целых и девять двенадцатых |
造 | двумя целыми долями единицы и девятью двенадцатыми долями единицы | двумя целыми и девятью двенадцатыми |
前 | двух целых долях единицы и девяти двенадцатых долях единицы | двух целых и девяти двенадцатых |
分数を表す名詞
ロシア語には、分数を表す名詞が存在する。これを使い、以下のような表現がある。
- 1/2 : половина
- 1/3 : треть / 2/3 : две трети
- 1/4 : четверть / 2/4 : две четверти / 3/4 : три четверти
特に口語においてはこの表現の方が一般的である。
この表現は帯分数でも用いられる。その場合 с +造格の形になる。ただし、2/3、2/4、3/4 でこの表現を用いると複雑な格変化をともなうことになるので、1/2、1/3、1/4 ほどには使われない。
分数を表す名詞を使った帯分数は、形式上は帯分数ではなく個数詞+с+名詞となっているから、個数詞は女性にする必要はない。
- 2と1/2(2,5) : два с половиной
- 3と1/3 : три с третью
- 4と1/4(4,25) : четыре с четвертью
口語的な崩れた表現
これは文法的には間違いである。
- с + 造格を使った帯分数 : これは 1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/7、1/8 等々の場合のみ。
- 4と1/5 : четыре с пятой
- 9と1/9 : девять с девятой
- запятая (コンマ)を使った小数の言い方 : 小数点以下は2桁づつまとめて普通の個数詞として読む。
- 3,14 : три запятая четырнадцать
- この言い方は、日本語の「さん、てん、いちよん」に酷似している。違いは小数点以下を1桁づつ読むか、2桁づつまとめて読むか。
形容詞・名詞との結合
分数と結合する形容詞・名詞は、数詞と結合しているわけではない。единица という名詞と結合している。ゆえに、数詞の数や格とは無関係に、形容詞・名詞は常に生格。当然、有生性による区別(動物名詞と非動物名詞の区別)も関係ない。
- пять шестых (долей единицы) километра「5/6 キロメートル」
ゆえに、男性名詞と結合しても、分数詞は одна であり две である。
- одна целая две третьих килограмма「1 と2/3 キログラム」
- сорок две целых ноль десятых километра「42,0 km」 ⇔ сорок два километра「42 km」
名詞が単数か複数かは、数詞によるのではなく名詞自体の意味による。たとえばひとりの人間は分割することができないから、単数形で分数と結びつくことはない。他方で物質名詞は数えることができないから、複数形で結びつくことはない。単純化して言うと、次のようになるだろうか。
- 分割可能なもの : 単数・複数 ⇔ 分割できないもの : 複数
- 数えられるもの : 単数・複数 ⇔ 数えられないもの : 単数
とはいえ、そもそも分数とは「1を分割した数」であるから、通常は単数形が結合することになる(分割できない名詞が分数詞と結合することはあまりない)。
たとえばコップ стакан は、分割可能である(「コップ半分」など)。同時に、数えることもできる。ゆえに単数形でも複数形でも分数詞と結びつくことができる。
- треть стакана 「1コップの1/3」
- треть стаканов 「複数あるコップのうち1/3」(たとえば100個のうち33個)
値段 стоимость は、分割可能である。しかし数えることはできない(数えることができるのは金額であって、値段そのものではない)。ゆえに単数形でしか使われない。
- три четверти стоимости 「3/4の値段」
- *три четверти стоимостей
学生 студент は、分割不可能である(分割したらバラバラ殺人になってしまう)。しかし数えることはできる。ゆえに複数形でしか使われない。
- *три десятых студента
- три десятых студентов 「学生たちの3/10」
ただし、треть стаканов や три десятых студентов のように名詞が複数形となる場合には、もともとコップや学生が複数あることが前提となっていなければならない。つまり、前後のコンテキストでその辺の事情が説明されていることが必要となる。たとえば「食堂にはコップが100個あったが、その100個のコップのうちの3分の1」等。
その意味で、上述のように、分数詞と結合する名詞は通常は単数形なのである。
特に、度量衡や時間の単位は常に単数形。
- тридцать пять целых семь десятых процента 「35,7%」
- сорок пять и ноль десятых секунды 「45,0秒」 ⇔ сорок пять секунд 「45秒」
理屈は単純である。0,7% とは、1% の 7/10 だからである。その違いが、次の секунда を用いた例文に如実に現れている。まったく同じことを言っている文だが、分数詞か個数詞かで、секунда が単数になったり複数になったりしている。45,0秒の 0,0秒とは1秒の 0/10 だから секунда は単数形となる。これに対して個数詞を用いた45秒の場合、секунда は единица ではなく個数詞 пять と直接結合しているため、пять の要求に従って複数形となっているのである。
分数を表す名詞は、名詞であるから、通常の名詞+名詞の結合であり、個数詞+名詞の法則は一切無関係である。当然、分数を表す名詞が格変化しても、これに結合する名詞は生格のままである。
帯分数に分数を表す名詞が用いられた場合は、上で述べたように個数詞+с+名詞であるからこれを無視し、名詞はその前の個数詞と結合する。
- треть пути 「道のりの1/3」
- вторая четверть текущего года 「今年度の第2四半期」
- два с половиной года 「2,5年 = 2年半」
- пять с четвертью лет 「5,25年 = 5年3ヶ月」