дательный падеж
«与格» とはロシア語の格のひとつ。基本的な役割は動作の «間接目的語» を示すことにあり、おおよそ日本語の「〜に」に相当する。なお、ロシア語には «間接目的語» という文法用語は存在しない。
なお以下、便宜上名詞を中心に扱うが、原則として形容詞・数詞・代名詞でも話は同じである。これら4つの品詞はロシア語では «名辞類» として(ほぼ)同じ扱いを受ける。
形態
I 式 | II 式 | III 式 | ||
---|---|---|---|---|
男性 | 中性 | 女性 | ||
単数 | -у/-ю | -е | -и | |
複数 | -ам/-ям | -ям |
例外
II 式変化が単数与格で -и
- 規則変化と共存しておらず互換不可。
- -ия が -ие ではなく -ии となる。
- ちなみに、このため -ия は次のような格変化をする。
- 主:-ия
- 生:-ии
- 与:-ии
- 対:-ию
- 造:-ией
- 前:-ии
- つまり生・与・前は同じ語尾をとる。
- ちなみに、このため -ия は次のような格変化をする。
用法
語結合
- 名詞・形容詞と : «間接目的語»、関係性
- 数詞と : 年齢
- 動詞と : «間接目的語»、無人称動詞の主体
- 副詞と : 無人称述語の主体
- 前置詞と : (若干)
- 単独で : «間接目的語»
なおこの表では細かい用法は省いてある。
基本的意味
与格の本来的意義は «間接目的語» を示すにある。当然、他動詞とともに用いられるのが本来の用法だが、«間接目的語» の概念を多少広げると、非他動詞とともに、名詞や形容詞とともに、あるいは単独でも用いられる。
- 他動詞とともに да́ть сы́ну де́ньги 「息子に金を与える」
- 非他動詞とともに звони́ть подру́ге 「ガールフレンドに電話する」
- 形容詞とともに изве́стная все́м пе́сня 「誰にも知られている歌」
- 名詞とともに отве́т нача́льнику 「上司への返答」
- 単独で Во́т тебе́ слова́рь. 「はい、(きみに)辞書」
これほど多様ではないが、量的にはこれに匹敵する用法が、無人称文における主体の表現である。
- 述語副詞とともに Мне́ сты́дно. 「わたしは恥ずかしい」
- 無人称動詞とともに Мне́ ка́к-то случи́лось с ни́м поговори́ть. 「わたしはたまたまかれと話をする機会があった」
- 否定代名詞とともに Мне́ не́ с кем посове́товаться. 「わたしは相談する人がいない」
あらゆる与格の90%は(多少こじつければ) «間接目的語» か無人称文の主体か、どちらかの用法として理解可能である(ちなみに「90%」に根拠はない)。
«間接目的語»
主に動詞によって表現される行為の、直接的な対象を示すのが «直接目的語» であるが、その行為の間接的な影響を受ける対象を示すのが «間接目的語» である。単純に言えば、何かを与えられる・捧げられる対象であるが、それだけでなく、行為の恩恵・被害を受ける者をも与格は示す。通常は日本語の「〜に」に相当する。
当然、与格は他動詞とともに用いられるのが一般的である。もっともロシア語では他動詞と非他動詞の区別は曖昧であり、実践的な観点からするとあまり気にしても意味がない。そもそも辞書には他動詞と非他動詞の区別が載っておらず、日本語で考えて「〜に」が使われるかどうかで判断しても大概は大丈夫である。
- да́ть сове́т студе́нту 「学生に助言を与える」
- сообщи́ть роди́телям о прие́зде 「両親に到着について伝える」
- Я́ не хоте́л тебе́ зла́. 「君に対して悪気はなかったんだ」
動詞だけでなく、形容詞にも与格を要求するものが多い。これは厳密には «間接目的語» ではないが、やはり日本語の「〜に」に該当する。なお、このような補語がある場合、形容詞は述語としては一般的に短語尾が用いられる(この点については短語尾のページを参照)。
- поко́рный судьбе́ ⇔ О́н поко́рен судьбе́. 「運命に従う・従順な」
- изве́стный все́м худо́жник ⇔ Худо́жник изве́стен все́м. 「みんなに知られている」
- ве́рный своему́ сло́ву поли́тик ⇔ Поли́тик не всегда́ ве́рен своему́ сло́ву. 「自分の言葉に忠実な」
以上、日本語への訳し方によっては「〜に」では具合が悪くなることもあるが、それはあくまでも日本語のどの訳語を用いるかの問題であって、理屈から考えれば日本人でも間違えることはあるまい。とはいえ、完璧を期すならば、個々の単語の格支配の問題として覚えておく方がよかろう。
このような、与格を支配する動詞・形容詞が名詞化すると、与格支配がそのまま残る。
- письмо́ дру́гу 「友人への手紙」 ⇐ писа́ть дру́гу 「友人に(手紙を)書く」
- пода́рок ребёнку 「子供への贈り物」 ⇐ дари́ть ребёнку 「子供に(プレゼントを)贈る」
- ве́рность ро́дине 「母国への忠誠」 ⇐ ве́рный ро́дине 「母国に忠実な」
特に基となる動詞・形容詞がなくとも、与格をとる名詞は存在する。その場合も同じで、与格は与えられる・捧げられる対象を表している。
- па́мятник Пу́шкину 「プーシュキン(への)記念碑」 ※памятник Пушкина だと「プーシュキンの所有する記念碑」
- ги́мн труду́ 「労働(への)賛歌」
- Сла́ва Импера́тору! 「皇帝への栄光 ⇒ 皇帝に栄光あれ!」
単独で述語として用いられる場合もある。当然、主語が与えられる対象を表す。日本語的には、脳内で「あげる」などの他動詞を補うとわかりやすいかもしれない。
- Э́то ва́м. 「これはキミたちに(くれてやる/宛てられたものだ)」
- Во́т тебе́ де́сять конфе́т. 「はい、あんたにお菓子10個(あげるわ)」
ゆえに、手紙の宛て先は主格ではなく与格で示す(ただし住所は主格)。
162340 Россия,
Вологодская область,
г. Великий Устюг,
Деду Морозу
その他の「〜に」
非他動詞にも与格を要求するものがある。この場合の与格は厳密には «間接目的語» とは言えないが、日本語的には「〜に」に相当するので、用法として問題はないはずだ。
- принадлежа́ть бра́ту 「兄に属する」
- сле́довать сове́там врача́ 「医師の忠告に従う」
- Роди́тели не позво́лили де́тям смотре́ть телеви́зор. 「両親は子供たちにTVを見ることを許さなかった」
- Дива́н служи́л мне́ посте́лью. 「ソファが私にベッドとして奉仕していた ⇒ ソファが私のベッド代わりだった」
- Се́ссия предше́ствовала кани́кулам. 「試験が休暇に先行した ⇒ 休暇の前に試験があった」
動詞との結合においては、日本人の目には一見どのような意味があるのかわからないような与格がロシア語には時々見られるが、これは他動詞における行為の «間接目的語» を明確にするために挿入されている。
- смотре́ть ему́ в глаза́ 「かれの目をまともに見る」
- О́н купи́л себе́ слова́рь. 「かれは自分に辞書を買った ⇒ かれは自分の辞書を買った」
- Вра́ч вы́рвал ему́ зу́б. 「医者はかれの歯を抜いた」
- О́н спа́с жи́знь ребёнку. 「かれは赤ん坊の命を救った」 ⇔ О́н спа́с ребёнка. 「かれは赤ん坊を救った」
- О́н поцелова́л да́ме ру́ку. 「かれは婦人の手にキスをした」 ⇔ О́н поцелова́л да́му в гу́бы. 「かれは婦人の唇にキスをした」
- Чёрный ко́т чу́ть не перешёл и́м доро́гу. 「黒猫があやうくかれらの行く手を横切るところだった」
聞く・読むにおいては、特に «перешёл им дорогу» がわかりづらいと思う。しかし通常は、文法はわからなくても何を言っているかは見当がつくだろう。「与格は «間接目的語»」という基本がしっかり理解されていれば、特に問題はないはずだ。
話す・書くにおいては、「かれの目」、「自分の辞書」、「かれの歯」、「赤ん坊の命」、「婦人の手」、「かれらの行く手」という日本語の感覚に惑わされて、それぞれ его глаза、свой словарь、его зуб、жизнь ребёнка、руку дамы、их дорогу などとしてしまいがちである。それでも文としては成立するが、やはり意味やニュアンスが違ってしまう。
基本的な考え方として、このような文は、与格がなくても文として成立する。「смотреть в глаза 目を見る」、「купил словарь 辞書を買った」、「вырвал зуб 歯を抜いた」、「спас жизнь 命を救った」、「поцеловал руку 手にキスをした」、「перешёл дорогу 道を横切った」だけでも文法上何の問題もない。与格を挿入しているのは、それらの行為の間接的影響(恩恵や損害)を受けたのが誰かを明確にするためである。当然、与格があるとないでは意味がまったく変わってしまう。
このため、日本語で「〜してやる」、あるいは「〜してもらう」というような表現はロシア語には存在しないが、与格を挿入することでそれらしいニュアンスを表現し得ることもある。
- чита́ть кни́гу ребёнку 「子供に本を読んでやる」
- Му́ж купи́л жене́ кольцо́. 「夫は妻に指輪を買ってやった」 ⇔ Му́ж купи́л для жены́ кольцо́. 「夫は妻のために指輪を買った」
- Ма́ма сши́ла мне́ ю́бку. 「ママがわたしにスカートを縫ってくれた」 ⇔ Ма́ма сши́ла для меня́ ю́бку. 「ママがわたしのためにスカートを縫ってくれた」
- Ва́м наре́зать? 「お切りしましょうか?」(ソーセージやチーズを買うと店員に聞かれる)
あえて言うならば、用法上与格を必要としない動詞に与格を補うことで、こういったニュアンスが生じる。
関係性
さらに「〜に」を拡大解釈すると、日本語の「〜にとって」、「〜には」も与格で表す。
- О́н мне́ дру́г. 「かれはわたしにとって友人だ」
- Она́ сестра́ президе́нту Пу́тину. 「彼女はプーティン大統領には妹にあたる」
- Всему́ прихо́дит коне́ц. 「すべてのものに終わりはやってくる」
これは、形容詞短語尾との結びつきでよく見られる。
- Пальто́ мне́ ма́ло. 「このコートはわたしには小さすぎる」
- Э́та кни́га мне́ не та́к интере́сна. 「この本はわたしにはさほど面白くなかった」
- Ты́ мне́ не нужна́. 「きみはぼくには必要ない ⇔ ぼくはきみを必要としていない」
またそれ以上によく見られるのが、述語副詞を用いた無人称文における «意味上の主語» であろう。もっとも、この «意味上の主語» という言葉は、よく使われるものの、誤解を招きやすい。無人称文の与格は、あくまでも述語副詞が誰に関係しているかを示すものであり、日本語的には「〜には」の方がわかりやすい。
- Мне́ тру́дно говори́ть по-ру́сски. 「ロシア語で話すのはわたしには難しい」
- Сего́дня мне́ хо́лодно. 「今日はわたしにとっては寒い」
- Тебе́ не сты́дно? 「あんた(に)は恥ずかしくないの?」
«直接目的語»?
日本人には «直接目的語» に思われる次のような動詞の «目的語» も、ロシア語では «間接目的語» として与格で処理される。
- помо́чь больны́м 「病人を手助けする」 ⇔ по́мощь больны́м 「病人への手助け」
- измени́ть Ро́дине 「祖国を裏切る」 ⇔ изме́на Ро́дине 「祖国への裏切り」
- учи́ть детей гра́моте 「子供たちに読み書きを教える」
- ве́рить дру́гу 「友人を信じる」
- грози́ть проти́внику 「敵を脅す」
- зави́довать успе́хам 「上達を羨む」
- ра́доваться уда́че 「成功を喜ぶ」
- надое́сть студе́нтам 「学生たちをうんざりさせる」
この調子で挙げていくとキリがない。これらを対格ではなく与格で捉えるロシア語の感覚が身につけば万全なのだが、それも容易ではない。実践的な観点からすれば、個々の動詞の格支配として暗記するのがよかろう。
年齢
与格+数詞で年齢を表現する。
- Мне́ 40. 「わたしは40歳だ」
- Ми́ше ско́ро испо́лнится два́дцать ле́т. 「ミーシャはまもなく20歳になる」
- Котёнку бы́л всего́ ме́сяц. 「子猫は(生後)たった1月だった」
- Ско́лько ва́м ле́т? 「あなたはおいくつですか?」
無人称文の主体
無人称文においては、主体(意味上の主語)は与格で示される。
- Тебе́ нельзя́ входи́ть. 「君は入っちゃいけない」
- Мне́ пора́. 「わたしは(もうお暇する)時間です」
- Все́м хоте́лось отдохну́ть. 「みなが休暇を取りたがっていた」
- Ребёнку нездоро́вилось. 「子供の具合が悪かった」
- Мне́ повезло́. 「わたしはついていた」
- Что́ на́м де́лать? 「われわれは何をすべきか(できるだろうか)」
与格を支配する単語
動詞
言っておくが、以下ですべてではない。特に「他動詞の «間接目的語»」については、上でも例文を挙げた купить жене кольцо や спасти жизнь ребёнку のような使い方をする動詞はここでは挙げきれない。ましてや無人称動詞をすべて挙げるのは不可能である。
«直接目的語» と «間接目的語» の区別は、訳し方にもよるので厳密ではない。とはいえ、与格本来の用法が «間接目的語» を示すことにある以上、日本語の «間接目的語» に該当するか否かを中心に、一応の分類をした。
- 他動詞の «間接目的語» (ただし対格補語を伴うとは限らない)
- адресова́ть письмо́ дире́ктору 「所長宛に手紙を出す」
- внуши́ть обя́занности де́тям 「子供たちに責任感を持たせる」
- возврати́ть до́лг това́рищу 「仲間に借りを返す」
- вручи́ть дипло́м выпускнику́ 「卒業生に証書を手渡す」
- вы́дать зарпла́ту рабо́чим 「労働者に給与を支給する」
- вы́нести пригово́р подсуди́мому 「被告に判決を下す」
- вы́разить призна́тельность учи́телю 「教師に謝意を表す」
- гаранти́ровать права́ гра́жданам 「市民に権利を保障する」
- говори́ть больно́му о вреде́ куре́ния 「喫煙の害について病人に言う」
- гото́вить пода́рок юбиля́ру 「記念日を迎えた人に贈り物を用意する」
- дари́ть альбо́м подру́ге 「友人にアルバムを贈る」
- да́ть сове́т студе́нту 「学生に助言を与える」
- де́лать замеча́ние ребёнку 「子供に小言を言う」
- диктова́ть те́кст ученика́м 「生徒にテキストを口述する(書き取らせる)」
- дове́рить подру́ге та́йну, де́ньги 「友人に秘密を打ち明ける/お金をまかせる」
- доказа́ть свою́ правоту́ колле́ге 「自分の正しさを同僚に証明する」
- доложи́ть обстано́вку кома́ндующему 「司令官に事情を報告する」
- доста́вить удово́льствие слу́шателям 「聴衆に満足を与える」
- жела́ть молоды́м сча́стья 「若者に幸福を願う」
- завеща́ть иму́щество де́тям 「子供たちに財産を遺す」
- загада́ть зага́дку ребёнку 「子供に謎をかける」
- зада́ть дома́шнее зада́ние студе́нтам 「学生たちに宿題を課す」
- заяви́ть нача́льнику об ухо́де 「上司に辞職を申し出る」
- купи́ть кольцо́ жене́ 「妻に指輪を買う」
- навяза́ть каба́льный догово́р стране́ 「国に屈辱的な条約を押し付ける」
- надари́ть де́тям игру́шек 「子供たちにおもちゃを贈る」
- надписа́ть кни́гу дру́гу 「本に友人への献辞を書き込む」
- назна́чить пе́нсию инвали́ду 「障害者への年金を定める」
- накупи́ть малыша́м конфе́т 「子供たちにお菓子を買ってやる」
- нали́ть го́стю вина́ 「お客にワインを注ぐ」
- нанести́ уще́рб урожа́ю 「収穫に損害を及ぼす」
- напо́мнить мне́ бра́та 「わたしに兄を(ふと)思い出させる」
- напра́вить посла́ние премье́р-мини́стру 「首相に親書を送る」
- обучи́ть дете́й гра́моте 「子供たちに読み書きを教える」
- объяви́ть студе́нтам о собра́нии 「学生たちに集会について通告する」
- объясни́ть пра́вило ученика́м 「生徒たちに規則を説明する」
- оказа́ть по́мощь пострада́вшим 「被害者に援助をする」
- оста́вить насле́дство де́тям 「子供たちに財産を遺す」
- отда́ть долг прия́телю 「知人に借りを返す」
- откры́ть две́рь го́стю 「客にドアを開けてやる」
- отпра́вить фа́кс родны́м 「親戚にファクスを送る」
- перевяза́ть ру́ку больно́му 「病人の手に包帯をまく」
- переда́ть приве́т супру́ге 「奥さんによろしく伝える」
- пе́ть пе́сню собра́вшимся 「集まった人たちに歌を歌う」
- писа́ть отцу́ о свое́й рабо́те 「父に仕事について書いて送る」
- плати́ть опекуну́ зло́м за добро́ 「後見人に恩を仇で返す」
- пода́ть заявле́ние дире́ктору 「届(何かの申請書や辞表)を所長に提出する」
- подве́ргнуть нача́льство кри́тике 「首脳部を批判にさらす」
- подсказа́ть това́рищу отве́т 「仲間に答えをささやく」
- показа́ть го́стю на две́рь 「客にドアを指し示す」
- поручи́ть ребёнка ня́не 「幼児を子守に委ねる」
- посвяти́ть стихи́ ма́тери 「詩を母親に捧げる」
- посла́ть посы́лку ба́бушке 「祖母に小包を送る」
- прегради́ть доро́гу войска́м 「軍隊の行く手を遮る」
- предложи́ть ча́й го́стю 「客にお茶を勧める」
- предоста́вить сло́во докла́дчику 「報告者に発言を許す」
- предпосла́ть предисло́вие кни́ге 「本に前文を書き加える」
- предпоче́сть о́строе сла́дкому 「甘いものより辛いものを好む」
- предста́вить молодо́го челове́ка профе́ссору 「教授に若者を紹介する」
- предъяви́ть про́пуск дежу́рному 「警備員に通行証を提示する」
- преподнести́ цветы́ юбиля́ру 「記念日を迎えた人に花を贈呈する」
- прида́ть фо́рму изде́лию 「製品に形を与える」
- принести́ по́льзу де́лу 「仕事に利益をもたらす」
- присво́ить зва́ние арти́сту 「アーティストに称号を授ける」
- присуди́ть пре́мию писа́телю 「作家に賞を授与する」
- причини́ть бо́ль живо́тному 「動物に痛みをもたらす」
- прописа́ть лека́рство пацие́нту 「患者に薬を処方する」
- рассказа́ть ска́зку де́тям 「子供たちにお話を話してやる」
- рекомендова́ть но́вое сре́дство больно́му 「病人に新しい薬を勧める」
- сда́ть тетра́ди учи́телю 「教師にノートを提出する」
- сказа́ть пра́вду ма́тери 「母親に真実を言う」
- сове́товать духи́ подру́ге 「友達に香水を勧めた」
- сообщи́ть роди́телям о прие́зде 「両親に到着について伝える」
- ста́вить диа́гноз боьно́му 「病人に診断を下す」
- удели́ть внима́ние ребёнку 「幼児に注意を割く」
- указа́ть ученику́ на его́ оши́бку 「生徒に間違いを指摘する」
- уступи́ть жене́ во всём 「すべてにおいて妻に譲る」
- учи́ть детей гра́моте 「子供たちに読み書きを教える」
- чита́ть расска́з ученика́м 「生徒たちにお話を読んでやる」
- ши́ть ма́льчику ша́пку из ше́рсти 「男の子に毛糸で帽子を編んでやる」
- 非他動詞の補語
- «間接目的語»
- 対格以外を «直接目的語» とする動詞
- кля́сться же́нщине в ве́чной любви́ 「女性に永遠の愛を誓う」
- маха́ть отъезжа́ющим платко́м 「旅に出る人にハンカチを振る」
- намека́ть прия́телю на его́ оши́бку 「知り合いに間違いをほのめかす・あてこする」
- отказа́ть ма́ме в про́сьбе 「ママの頼みを断る」
- призна́ться де́вушке в любви́ 「女の子に愛を打ち明ける」
- созна́ться ма́тери во лжи́ 「母親に嘘を白状する」
- 日本語で考えると動詞の意味に «直接目的語» が内包される「〜をする」
- аплоди́ровать игрока́м 「選手たちに拍手する」
- возрази́ть докла́дчику 「報告者に異論を唱える」
- вреди́ть бу́дущему урожа́ю 「将来の収穫に害を与える」
- груби́ть ста́ршим 「年上に対して暴言を吐く」
- жа́ловаться учи́телю на сосе́да 「教師に隣の席のヤツについて文句を言う」
- звони́ть знако́мому 「知人に電話する」
- мсти́ть врагу́ за сме́рть дру́га 「友人の死に対して敵に復讐する」
- отплати́ть ему́ за оскорбле́ние те́м же 「かれの侮辱に侮辱で返す」
- симпатизи́ровать игрока́м 「選手たちに好感を抱く」
- соде́йствовать дру́гу в рабо́те 「仕事において友人に協力する」
- сочу́вствовать ему́ в го́ре 「かれの悲しみに同情する」
- хло́пать выступа́ющему 「登壇者に拍手する」
- 日本語で考えると動詞がそもそも «直接目的語» を要求しない「〜に〜する」
- измени́ть прися́ге, ро́дине 「誓いに背く/祖国を裏切る」
- кива́ть прия́телю голово́й 「知り合いに頭で肯く ⇒ 軽く頭をさげて挨拶する」
- отве́тить дру́гу на письмо́ 「友人に手紙に答える」
- подчини́ться зако́ну 「法律に従う」
- покори́ться стихи́и 「自然の力に従う」
- предше́ствовать встре́че 「出会いに先行する」
- принадлежа́ть госуда́рству 「国家に所属する」
- присягну́ть ро́дине в ве́рности 「母国に忠誠を誓う」
- сле́довать сове́там 「助言に従う」
- служи́ть свое́й стране́ 「自国に奉仕する」
- соотве́тствовать моему́ ви́дению 「わたしの見方に合致する」
- сопу́тствовать заболева́нию 「発病に伴う」
- удиви́ться его́ отсу́тствию 「かれの不在に驚く」
- улыбну́ться шу́тке 「冗談に笑う」
- 「反抗」
- проти́виться нажи́му 「圧力に抵抗する」
- противоде́йствовать про́искам враго́в 「敵の陰謀に対抗手段を講ずる」
- противоре́чить самому́ себе́ 「自分自身に矛盾する」
- противостоя́ть стихи́и 「自然の力に逆らう」
- 対格以外を «直接目的語» とする動詞
- «直接目的語»
- ве́рить дру́гу 「友人を信じる」
- грози́ть ребёнку па́льцем 「子供を指で脅す ⇒ そういう仕草をする」
- доверя́ть лю́дям 「人に心を許す」
- доверя́ться судьбе́ 「運命をアテにする」
- зави́довать чужо́му успе́ху 「他人の成功を羨む」
- меша́ть рабо́тающим разгово́рами 「働いている人をお喋りで邪魔する」
- надое́сть сосе́ду расспро́сами 「隣人を質問でうんざりさせる」
- наску́чить слу́шателям 「聴衆を飽き飽きさせる」
- подража́ть прия́телю во всём 「すべてにおいて知人をまねる・手本にする」
- поклоня́ться красоте́ 「美を讃嘆する」
- помо́чь ма́тери в убо́рке кварти́ры 「母親の家の片付けを手伝う」
- препя́тствовать разви́тию 「発展の障害となる」
- спосо́бствовать ро́сту 「成長を促す」
- угрожа́ть здоро́вью люде́й 「人々の健康を脅かす」
- учи́ться пла́ванию у чемпио́на 「チャンピオンに泳ぎを習う」
- その他
- аккомпани́ровать певцу́ 「歌手の伴奏をする」
- доста́ться мне́ 「わたしのものになる」
- каза́ться мне́ взро́слым 「わたしには大人に見える」
- наступи́ть собесе́днику на́ ногу 「話相手を侮辱する」
- нра́виться лю́дям свое́й отзы́вчивостью 「思いやりで人々の気に入る」
- предста́виться мне́ гла́вным 「わたしには重要だと思われる」
- приходи́ться ему́ дя́дей 「かれには伯父にあたる」
- ра́доваться пода́рку 「プレゼントを喜ぶ」
- сни́ться мне́ 「わたしは夢を見る」
- угоди́ть дру́гу пода́рком 「プレゼントで友人の気に入る」
- уподо́биться пти́це 「鳥のようだ」
- «間接目的語»
- 無人称動詞
- везти́ дру́гу 「友人は運がいい」
- жи́ться мне́ хорошо́ 「わたしの生活はいい状態だ」
- спа́ться мне́ хорошо́ 「わたしはよく眠れる」
- хоте́ться мне́ 「わたしは〜したい」
形容詞・副詞
形容詞短語尾との結合、および述語副詞との結合についてはすべて挙げることなど不可能。
形容詞・副詞との結合は、日本語訳で「〜に」となるかどうかは訳語次第ではあるが、原則として日本語でも十分理解できる。しばしば与格とともに用いられる以下の形容詞からも、それはわかるだろう。その意味で、特筆すべきは рад ぐらいか。
- благода́рный 与格に感謝している
- ве́рный 与格に忠実な
- дорого́й 与格にとって大事な
- знако́мый 与格の知っている
- изве́стный 与格に知られている
- подо́бный 与格に似ている
- поко́рный 与格に従順な
- прия́тный 与格にとって気持ちのいい
- проти́вный 与格と対立する
- сво́йственный 与格に固有の
- ра́д 主格が与格を喜ぶ・嬉しく思う
前置詞
- 根源的前置詞 : к, по
- 派生的前置詞 : вопреки, навстречу, подобно, согласно, сообразно, соответственно, соразмерно, применительно к, благодаря, судя по, ...