И09:修飾語としての副詞比較級
動詞その他を修飾する副詞が比較級になっても、使い方はそのままである。
- Быстре́й. 「(もっと)急げ」 ⇔ Бы́стро. 「急げ」
- Ходи́ ме́дленнее. 「もっとゆっくり歩いてよ」 ⇔ Ходи́ ме́дленно. 「ゆっくり歩いてよ」
- О́н придёт по́зже. 「かれは後から来る」 ⇔ О́н придёт по́здно. 「かれは遅くに来る」
- О́н бе́гает быстре́е меня́. 「かれはわたしより速く走る」=「かれはわたしより足が速い」 ⇔ О́н бе́гает бы́стро. 「かれは速く走る」=「かれは足が速い」
- Погро́мче, пожа́луйста. 「もう少し大きな声でお願いします」 ⇔ Гро́мко, пожа́луйста. 「大きな声でお願いします」
- Ро́за поёт не лу́чше На́ди. | Ро́за поёт не лу́чше, чѐм На́дя. 「ローザはナーデャほど歌がうまくない」
- Ма́лый теа́тр нахо́дится праве́е Большо́го. 「マールィイ劇場はボリショイよりも右手に位置する」 ≒ Ма́лый теа́тр нахо́дится напра́во от Большо́го. 「マールィイ劇場はボリショイの右手に位置する」
- правее は право(副詞)「右側に」から作られた比較級だが、通常「右側に」(副詞)は направо が使われる。право という単語は、比較級か成句でしか使われない、と思っておいていい。
- В Япо́нии едя́т ры́бы ча́ще, чѐм в Росси́и. 「日本人はロシア人よりも魚を食べる」
- 主語のない文 «不定人称文»。ロシア語としては、«Японцы едят рыбы чаще, чем русские.» よりこの方が自然。
- В после́днее вре́мя я́ ре́же встреча́ю его́. 「最近はめったにかれに会わない」
- 以前にも述べたが、редко ⇒ реже は、肯定文に否定的な意味を加える。「まれに〜する」ではなく、「めったに〜しない」である。
- Россия́не ста́ли ча́ще е́здить в Гру́зию. 「ロシア国民はより頻繁にグルジアに行くようになった」=「ロシア国民のグルジア旅行が増えた」
- Быстре́е, вы́ше, сильне́е 「より速く、より高く、より強く」
比較級の中には、基本的に副詞としてしか使われないものもある。
- ра́ньше
- Ра́ньше сме́рти не умрёшь. 「死よりも前に死ぬことはない(人はいずれ死ぬべき時に死ぬ)」
- 動詞の形が二人称単数なのに主語 ты のない、いわゆる «普遍人称文»。「人というものは」を意味する。
- О́н придёт ра́ньше. 「かれは(いつ・誰か)より早く来る」
- Ра́ньше я́ бы́л атеи́стом. 「かつてはわたしは無神論者だった」
- раньше は「ある時点より早く」、「ほかの何ものかより早く」という意味である。ゆえに単独で使われても、前後の文脈から「ある時点」や「ほかの何ものか」がわかれば、単純に「より早く」を意味する。しかし特に「ある時点」や「ほかの何ものか」を含意せずに使われた場合、「その時点より早く」という意味になる。「その時点」が「いま」であれば、「以前」、「かつて」、「いままで」等の意味になる。もちろん、過去時制に限る。
- Ми́тя встаёт не ра́ньше семи́. 「ミーテャは7時より早くなく起きる」=「7時より前には起きない」=「起きるのは早くて7時だ」
- 比較級の否定である。
- Ра́ньше сме́рти не умрёшь. 「死よりも前に死ぬことはない(人はいずれ死ぬべき時に死ぬ)」
- по́зже
- По́зже. 「後にしろ」
- Позвони́те попо́зже. 「もう少し後で電話してください」
- Сего́дня я́ вста́л по́зже, чѐм обы́чно. 「今日は普段より遅く起きた」
- Зако́нчи зада́ния не по́зже чѐм к 31-му а́вгуста. 「8月31日までより遅くなく」=「遅くとも8月31日までには宿題を終わらせろ」
- 31-му は与格で три́дцать пе́рвому。
- скоре́е
- Скоре́й, скоре́й! 「さあさあ急いで」
- Я скоре́е умру́, чѐм вы́йду за́муж за тебя́. 「あんたと結婚するくらいなら死ぬわ」
- 話し手の強い意志、絶対的な決意を示す完了体現在形(未来時制)。
- Са́ша скоре́е ми́лая, чѐм краси́вая. 「サーシャは美人と言うより可愛い」
- Скоре́е всего́ ты́ не придёшь. 「きっと君は来ない」
- скорее всего で「きっと」という意味の熟語として覚えておくといい。
сме́рть(女性名詞)死
атеи́ст /атэист/ (男性名詞)無神論者
за́муж /замуш/(副詞)※次のような語結合でしか使われない
выйти|выходить замуж : за+対格のところに嫁に行く
выдать|выдавать замуж : за+対格のところに対格を嫁にやる
ми́лый(形容詞)感じのいい・人好きのする・可愛らしい、愛しい・懐かしい、親切な(短語尾)