ロシア学事始ロシア語講座初級

ロシア語講座:初級

З21:AはBだ/Aがある・いる

動詞の用法を学んだところで、改めて「AはBだ」と「Aがある・いる」を、動詞を用いて表現してみよう。
 別に動詞を使わなくても、これらの表現はできる。すでに見たとおりである。しかし動詞を使うことで、その動詞に固有の特殊なニュアンスを文に付加することになるのだ。

#172 「AはBだ」や「Aがある・いる」で動詞を使うことで、微妙なニュアンスを加えることができる。

「AはBだ」の言い方

  1. быть
    • 現在時制では以下の3通りがあるが、過去時制・未来時制では共通(быть の過去形・未来形を用いる)。
    • Bは、現在時制では主格、過去時制・未来時制では造格
    1. 何も使わない : «Он студент.»
      • 最も平易な言い方。
    2. ─ : «Мой брат ─ студент.»
      • 同上。1 との違いは、文法的なもの(A・Bいずれも名詞の場合)。
    3. есть : 
      • 学術的な定義文に用いられる。
  2. 動詞
    • いずれも文体的には文語的。動詞それぞれの意味・ニュアンスの違いにより使い分けられる。
    • いずれも不完了体。対応する完了体を持たない(違う意味では完了体があるものもある)。
    1. являться +造格
    2. представлять собой +対格
    3. служить +造格
    4. состоять +в+前置格 ※特に в том, что...
    5. заключаться +в+前置格 ※特に в том, что...
    6. その他

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「Aが(Eに)ある・いる」の言い方

  1. быть
    • 現在時制では以下の2通りがあるが、過去時制・未来時制では共通(быть の過去形・未来形を用いる)。
    1. есть : «Там есть собака.»
      • 「ある・いる」が言いたい文ではこちら。
    2. 何も使わない : «Собака там.»
      • 「Eに」が言いたい文ではこちら。
  2. 動詞
    • 文体的にはニュートラル。文語でも口語でもOK(иметься を除く)。
    • いずれも不完了体。対応する完了体を持たない(違う意味では完了体があるものもある)。
    1. находиться (「Eに」は必須)
    2. стоять 「立って」 (「Eに」がないと「立っている」が強調される。「ある・いる」というニュアンスを持たせたい場合は「Eに」が必須)
    3. лежать 「横たわって」 (「Eに」がないと「寝ている」が強調される。「ある・いる」というニュアンスを持たせたい場合は「Eに」が必須)
    4. сидеть 「座って」 (「Eに」がないと「座っている」が強調される。「ある・いる」というニュアンスを持たせたい場合は「Eに」が必須)
    5. существовать 「存在する」 (「Eに」は不要)
    6. иметься (文語) (「Eに」は不要)
  3. 形容詞
    • 文体的には文語的。
    1. расположенный

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造格の用法

 「AはBだ」を表す言い方の多くに共通するのが、Bが造格になる、という点である。造格の用法ということで言うと、つまり英語文法の補語(「AはBだ」のB)は造格で示される、ということである。
 これは、動詞を使わない言い方にもあてはまる。以前「AはBだ」の過去時制・未来時制を学んだ際に、「AはBだ」を過去時制・未来時制にするには多少の考慮が必要になる、と述べた。もうお忘れかもしれないが、この「多少の考慮」というのが、Bを主格にするか造格にするか、という判断なのである。
 動詞を使わない場合、Bを主格にするか造格にするかの判断には微妙なところがある。しかしいまの段階では、とりあえず次のように覚えておこう。

 つまり、単純化するとこうだ。

過去時制Онбылстудентом.
現在時制студент
未来時制будетстудентом

 実際には、現在時制で造格、過去時制・未来時制で主格が用いられる場合もある。しかしその使い分けは中級・上級レベルの話で、いまはこれで十分だ。

#173 「AはBだ」のBは、過去時制・未来時制では造格が基本。

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явля́ться(不完)

  1. 現れる・来る ⇔ яви́ться(完)
  2. 造格である ⇔ ―(完)

 基本的に文語と考えておいていい。硬い言い回しになるので、日常会話で使うことはあまりない。逆に、新聞・雑誌を含め書き言葉では多用される。

主語現在形過去形命令形
яявля́юсьявля́лся
явля́лась
тыявля́ешьсяявля́лсяявля́йся
явля́лась
он | 男性名詞явля́етсяявля́лся
она | 女性名詞явля́лась
оно | 中性名詞явля́лось
мыявля́емсяявля́лись
выявля́етесьявля́йтесь
они | 名詞の複数形явля́ются

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оказа́ться(完) ⇔ ока́зываться(不完)

 ※変化形式は、完了体動詞は I 式不規則、不完了体動詞は I 式規則変化

  1. (場所を示す語句とともに)いる・ある(ということがわかる)
  2. 造格・従属文だとわかる

 оказаться | оказываться は、基本的に「AはEにある・いる」および「AはBである」を表す動詞である。ただしそれに、「気づいてみたら〜だった」、「調べてみたら〜だとわかった」というニュアンスを加えるのである。
 事実関係だけを見れば、多くの文が、оказаться | оказываться の有無にかかわらず意味は同じである。

主語現在形過去形命令形
яокажу́сьоказа́лся
оказа́лась
тыока́жешьсяоказа́лся
оказа́лась
он | 男性名詞ока́жетсяоказа́лся
она | 女性名詞оказа́лась
оно | 中性名詞оказа́лось
мыока́жемсяоказа́лись
выока́жетесь
они | 名詞の複数形ока́жутся

Ю́ра(男性名詞)男性名 Ю́рий の省略形

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находи́ться(不完) ⇔ ―(完)

  1. ある・いる
主語現在形過去形命令形
янахожу́сьнаходи́лся
находи́лась
тынахо́дишьсянаходи́лсянаходи́сь
находи́лась
он | 男性名詞нахо́дитсянаходи́лся
она | 女性名詞находи́лась
оно | 中性名詞находи́лось
мынахо́димсянаходи́лись
вынахо́дитесьнаходи́тесь
они | 名詞の複数形нахо́дятся

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最終更新日 31 08 2015

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