ロシア学事始ロシア語講座初級

ロシア語講座:初級

Ж09:男性生格の不規則2

生格の不規則と言った場合、単数ではこの «第二生格» だけである。もっともこの呼び名は、いまこの瞬間に忘れても何の支障もない。

 ここで、前置格の不規則語尾を思い出してみよう。前置格には -у|-ю という不規則語尾があった。

 この、前置格の不規則語尾に見られた特徴は、そのまま第二生格にも当てはまる。
 すなわち第二生格という不規則語尾は、

 形まで同じであるから、ある意味、覚えやすい。
 ちなみに、この結果、-у|-ю という変化語尾は男性名詞の単数において、与格(規則変化)、前置格(不規則変化)、生格(第二生格)と、実に3つの格で出現することになる。これでは、語尾で格を判断することが不可能だ。前後の文脈から正しく理解する必要がある。

 なお、前置格と異なり、生格の -у|-ю にはアクセントは移動しない

#145 男性名詞の単数生格には、特殊な変化語尾 -у|-ю が存在する。

▲ページのトップにもどる▲

 使い方を見る前に、どのような名詞にこの不規則語尾が現れるか、主なものだけ列挙しておこう。なお、分類は必ずしも適切ではないかもしれない。

 もっとも、どんな名詞に不規則語尾があるかは、意味・使い方ごとに覚えた方が有益かもしれない。と言うのも、規則語尾をとるか不規則語尾をとるかは、名詞ごとだけでなく、意味・用法ごとにも異なるからである。

  1. От э́того не бу́дет никако́го то́лку. 「そんなことには何の意味もない」
  2. На у́лицах не́т сне́га. 「通りには雪が積もっていなかった」
  3. На у́лицах мно́го сне́гу. 「通りには大量の雪が積もっていた」

 1) で、存在が否定された толк が不規則語尾になっている。2) では、同様に存在が否定された снег は規則語尾である。ところがその同じ снег が、量を表す 3) で不規則語尾になっている。
 つまり、

と覚えておくのがいい。

#146 -у|-ю という特殊な変化語尾は、特定の場合にのみ用いられる(それ以外は規則語尾 -а|-я)。どのような場合に用いられるかは、単語ごとに異なる。

▲ページのトップにもどる▲

存在の否定と前置詞との結合

 はっきり言って、このふたつについては、主なものを丸暗記するにしくはない。たいていは熟語や成句になっているからである。

  1. 存在の否定
    • ни ра́зу 「一度も(〜ない)」
      • раз の存在を否定しているから生格 разу になっている。
         これに対して «не раз» という成句の場合、раз が否定されてはいるものの、対格だからその存在までは否定されていない。つまり、раз の存在を否定した ни разу が「一度も(〜ない)」だとすれば、раз の存在を否定していない не раз は「一度ならず(何度も)」という意味である。
    • спо́ру не́т 「議論はない」 ⇒ 「もちろん」(挿入語)
    • то́лку не́т 「意味がない」
    • ни ша́гу 「一歩も動くな」
    • не пода́ть ви́ду 「素振りにも見せない」
  2. 前置詞との結合
    • с гла́зу на гла́з 「一対一で」
    • бе́з году неде́ля 「つい最近」
    • го́д о́т году 「年々」
    • и́з году в го́д 「年々」
    • и́з дому 「自宅から」 ⇔ из до́ма 「家(建物)から」
    • и́з лесу 「森から」
    • для поря́дку 「(従来からの慣習に従って)お体裁に」
    • о́т роду 「生後」
    • без сро́ку 「無期限に」
    • со стра́ху 「恐怖のあまり」
    • ча́с о́т часу 「時々刻々」
    • с ча́су = с ча́са = от ча́са 「一時から」
    • до ча́су = до ча́са 「一時まで」

▲ページのトップにもどる▲

最終更新日 31 07 2015

Copyright © Подгорный (Podgornyy). Все права защищены с 7 11 2008 г.

inserted by FC2 system