Е27:II 式 7
ви́деть(不完) ⇔ уви́деть(完)
- 対格・従属文を見る
- 対格に会う
- 対格を理解する・気づく
ただし、「主格が見ようと思って対格に視線を向ける」という意味ではなく、「主格の視界の中にたまたま対格が入ってくる」という意味。だから命令形はあり得ない。英語の see に相当する。
※ви́д(男性名詞)見た目・外見・顔つき、状態、景色、視野・視界
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | ви́жу | ви́дел | |
女 | ви́дела | |||
ты | 男 | ви́дишь | ви́дел | ― |
女 | ви́дела | |||
он | 男性名詞 | ви́дит | ви́дел | ||
она | 女性名詞 | ви́дела | |||
оно | 中性名詞 | ви́дело | |||
мы | ви́дим | ви́дели | ||
вы | ви́дите | ― | ||
они | 名詞の複数形 | ви́дят |
- Я́ пло́хо ви́жу без очко́в. 「メガネをかけないとよく見えない」
- О́н уви́дел до́м на берегу́. 「岸辺に家が見えた」
- Что́ ты́ ви́дел во сне́? 「夢の中で何を見たんだ?」=「何の夢を見たんだ?」
- Кого́ я́ ви́жу! 「誰を見ていることか!」=「誰かと思えば」
- 久しぶりに・思いがけず出会った人に対して発する言葉。
- Сего́дня ты ви́дела его́ в университе́те? 「今日君は大学でかれに会った?」
- Я́ не ви́жу в э́том ничего́ интере́сного. 「わたしはこの中に面白いものを何も見ない」=「これが面白いとは全然思わない」
- ничего интересного は否定生格。
- На пло́щади я́ уви́дел, ка́к де́ти игра́ли в мя́ч. 「広場でわたしは、子供たちがボール遊びをしているのを見かけた」
- 「見る」という知覚を意味する動詞なので、従属文を導く接続詞は что ではなく как。
- Я́ ви́дела, ка́к И́нна чита́ла на дива́не. 「インナがソファで読書しているのが見えた」
очки́(複数名詞)メガネ
со́н(男性名詞)眠り、夢 ※ロシア人はこのふたつを区別しない、できない。
пло́щадь(女性名詞)広場
мя́ч(男性名詞)ボール
И́нна(女性名詞)女性名
ненави́деть(不完) ⇔ ―(完)
- 対格を嫌っている・憎んでいる
日常会話レベルで「嫌い」と言う場合は любить「愛している」を否定する。бояться「怖れている」でも可。ненавидеть はそれよりもはるかに強い意味を表す。
※не́нависть(女性名詞)憎しみ・憎悪・嫌悪
- Я́ ненави́жу же́нщин. 「わたしは女というものが大嫌いだ」
- О́н ненави́дит Са́шу за эгои́зм. 「かれは、エゴイズムゆえにサーシャを嫌っている」
- 感情を引き起こす原因を示す за+対格。
- Она́ ненави́дела эгои́зм в Са́ше. 「彼女はサーシャのエゴイストなところが嫌いだった」
- 上の文との違いに注意。上の文では目的語が Саша であるから、サーシャその人を嫌っている。ところがこちらの文では、目的語は эгоизм であるから、必ずしもサーシャ本人を嫌っているとは限らない。「サーシャの中にあるエゴイズム」が嫌いなのである。「だからサーシャが嫌い」なのか、「それでもサーシャ本人は好き」なのかはわからない。
- Ди́ма ненави́дит, когда́ лю́ди говоря́т о други́х за спино́й. 「人が他人の陰口を叩くのがディーマは嫌いだ」
- других は複数前置格。другой は「別の」という意味だが、形容詞は複数になると「〜な人々」という意味になる。つまり другие で「別の人々」すなわち「他人」である。
- за спиной は、直訳すれば「背中の後ろで」。日本語は変だが、要するに「背中側で」ということだから、人の目の届かないところで、ということである。
- ここでは「人が他人の陰口を叩くのがディーマは嫌いだ」と、いささかこなれない日本語に訳したが、なぜ когда という接続詞を使っているのだろうか。別の言い方をすると、なぜ接続詞が что ではないのだろうか。
答えは単純である。ненавидеть という動詞が従属文を «目的語» にできないからである。だから、文法的に言えば、この場合の когда が導く従属文は、ненавидеть の目的語ではなく、状況語だということになる。無理やり日本語にすると、「人が他人の陰口を叩くことをディーマは嫌っている」ではなく、「人が他人の陰口を叩いている時、ディーマは嫌悪感を覚える」と言っているのである。
もっとも、когда という接続詞の使い方は、もっと複雑なものである。中でも、このような、一見して目的語的な意味で使われる когда は、かなり日本人にはわかりづらい。理屈ではなく、「ロシア語ではこう言うのだ」と覚えた方がいいかもしれない。что ではなく когда を使う場面はほかにもあるので、目につくたびに覚えていくのがいい。
эгои́зм(男性名詞)エゴイズム
спина́(女性名詞)背
возврати́ться(完)
⇔ возвраща́ться(不完) 変化形式は I 式規則変化
- 戻る・帰る
※возврати́ть(完) ⇔ возвраща́ть(不完)対格を返却する・戻す・取り戻す
※возвраще́ние(中性名詞)返却、帰還、回復
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | возвращу́сь | возврати́лся | |
女 | возврати́лась | |||
ты | 男 | возврати́шься | возврати́лся | возврати́сь |
女 | возврати́лась | |||
он | 男性名詞 | возврати́тся | возврати́лся | ||
она | 女性名詞 | возврати́лась | |||
оно | 中性名詞 | возврати́лось | |||
мы | возврати́мся | возврати́лись | ||
вы | возврати́тесь | возврати́тесь | ||
они | 名詞の複数形 | возвратя́тся |
- По̀сле шко́лы Шу́ра пря́мо возвраща́ется домо́й. 「学校が終わると、シューラはまっすぐ帰宅する」
- 不完了体で «反復» を表している。
- Когда́ о́н обы́чно возвраща́ется домо́й? 「普段かれはいつ帰宅していますか?」
- Чѐрез го́д о́н возврати́лся в университе́т. 「一年後、かれは大学に復学した」
- 完了体で、現実にあった一回の行為を表している。
- Не все́ возврати́лись живы́ми. 「みんなが生きて帰ってきたわけではない」
- не は直後の単語を否定する。この場合は直後に все「みんな」があるからこれを否定して、要するに「みんなではない」ということになる。英語文法でいう部分否定である。
- живыми は複数造格だが、1) 複数であるのは、主語 все が複数だから、これに対応しているのである。2) 造格であるのは、造格の特殊用法であるから、いずれ学ぶことにしよう。
живо́й(形容詞)生きた・命のある、生き生きした、生々しい