ロシア学事始ロシア語講座初級

ロシア語講座:初級

Г09:状況を表す副詞

形容詞からつくられた副詞と、以下に紹介するような副詞との違いは多岐にわたる。一般論としては、次のようなことが言える。

  1. 形容詞起源の副詞は、多くが直接的に動詞を修飾して「どんな風に」を意味する。下記の副詞は、動詞・形容詞・副詞・名詞を修飾したり、さらには文全体の状況を表すこともある。
  2. 形容詞起源の副詞は、通常、動詞の前後に置かれる。下記の副詞は、動詞に限らず修飾する単語の前後に置かれるが、文全体の状況を示す場合には文頭から文末まで様々な場所に置かれる。
  3. 形容詞起源の副詞は、述語副詞としても用いることができる。下記の副詞は、述語副詞としては用いられない。
  4. 形容詞起源の副詞は、形容詞の語末を -о にすることで出来ており、一目で副詞とわかる。下記の副詞の語末は種々雑多であり、見た目で副詞かどうかが判断できない。
  5. 形容詞起源の副詞は、極論すれば形容詞の数だけ存在する(実際はそれより少ないが)。下記の副詞は、数的には限られており、使用頻度の高いものを丸暗記すればいい。
  6. 形容詞起源の副詞は、基となった形容詞と同じく、意味が多岐にわたる。下記の副詞は、ほとんど一単語につき意味もひとつ(日本語との対応という問題もあるから、実際はそう単純ではないが)。

という理屈はともかく、ひたすら丸暗記しよう。使い方は、日本語から想像できるとおりで、基本的に問題ない。

  1. 時を表す副詞
    • у́тром 朝に・午前中に、днём 昼に・日中に・午後に、ве́чером 夕方に・晩に、но́чью 夜に・夜中に
    • весно́й 春に、ле́том 夏に、о́сенью 秋に、зимо́й 冬に
    • сейча́с /сича́с/ いま、сего́дня /сево́дня/ 今日、сра́зу すぐに、снача́ла 最初に、пото́м 後で、во́время いい時に・時間通りに
    • вчера́ /фчера́/ 昨日、за́втра /за́фтра/ 明日、давно́ 昔・前から、иногда́ ときどき
    • уже́ すでに、ещё まだ・もっと
  2. 場所を表す副詞
    • до́ма 自宅で、домо́й 自宅へ、ря́дом となりに
    • вве́рх 上へ、вверху́ 上で、наверху́ 上で、све́рху 上から、вни́з 下へ、внизу́ 下で、сни́зу 下から
    • вперёд 前へ、впереди́ 前で、наза́д 後へ、вокру́г 周囲に
    • напра́во 右へ、спра́ва 右から、нале́во 左へ、сле́ва 左から
    • о́коло そばに、вме́сте 一緒に
  3. 程度を表す副詞
    • о́чень とても、сли́шком あまりに、почти́ ほとんど、совсе́м まったく
    • мно́го たくさん、немно́го 少々
  4. その他
    • наоборо́т 逆向きに
    • ина́че 別のやり方・方法で・違った風に
    • по-ру́сски ロシア語で、по-япо́нски 日本語で
  5. こそあど
指示疑問否定不定限定
所在ここで
зде́сь
そこで、あそこで
та́м、ту́т
どこで
где́
どこにも
нигде́
どこかで
где́-то
где́-нибудь
どこででも
=すべての場所
везде́
方向ここへ
сюда́
そこへ、あそこへ
туда́
どこへ
куда́
どこへも
никуда́
どこかへ
куда́-то
куда́-нибудь
出自ここから
отсю́да
そこから、あそこから
отту́да
どこから
отку́да
どこからも
ниотку́да
どこかから
отку́да-то
отку́да-нибудь
この時=いま
тепе́рь
その時、あの時
тогда́
どの時=いつ
когда́
一度も
никогда́
いつか
когда́-то
когда́-нибудь
いつでも
=すべての時間
всегда́
様態こう、そう、ああ
та́к
どう
ка́к
どうとも
ника́к
どうにか
ка́к-то
ка́к-нибудь
原因これゆえ、それゆえ、あれゆえ
=だから
поэ́тому
どれゆえ=なぜ
почему́
なぜか
почему́-то
почему́-нибудь
目的このため、そのため、あのため
зате́м
どのため=なぜ
заче́м
なぜか
заче́м-то
заче́м-нибудь
程度これだけ、それだけ、あれだけ
сто́лько、насто́лько
どれだけ(数量)
ско́лько
どれだけ(程度)
наско́лько
少しも
ниско́лько
いくらか
не́сколько

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 ついでに代名詞も。言うまでもないが、こちらは副詞ではない。つまり、動詞(や形容詞など)を修飾することができないし、述語になることもない。
 が、「こそあど」の話題が出たので、一緒に紹介しておく(ほかで紹介する機会もないし)。まとめて覚えておこう。

指示疑問否定不定限定
これ、それ、あれ
э́то
どれ=何
что́
何も
ничто́
何か
что́-то
что́-нибудь
何でも
=すべてのモノ
всё
単独で名詞的に用いる。
だれ
кто́
だれも
никто́
だれか
кто́-то
кто́-нибудь
だれでも
=すべての人
все
この、その、あの
э́тот、то́т
どの
кото́рый
すべての
ве́сь
名詞を修飾する。
形容詞的な使い方。
ゆえに名詞にあわせて語尾変化。
こんな、そんな、あんな
тако́й
どんな
како́й
どんな〜も
никако́й
なんらかの
како́й-то
како́й-нибудь
どんな〜でも
ка́ждый、вся́кий、любо́й

 ちなみに、ロシア語の諸単語は、日本語の「こそあ」には対応していない(対応しているのはせいぜい「ど」だけ)。

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副詞とその他の品詞の区別

 少々小難しい話になるが、繰り返し確認しておく。

  1. 「かれは最初に食事をして、それから勉強に取り掛かった」 ⇒ О́н снача́ла пообе́дал, пото́м занялся́ уро́ком.
  2. 「かれが最初に到着した」 ⇒ О́н пришёл пе́рвый.

 この場合、「最初に」という日本語は同じであるにもかかわらず、ロシア語では 1. では сначала という副詞が、2. では первый という形容詞が使われている。単語が違う、というならまだしも、品詞からして違うのである。
 これは理屈で説明することもできないではないが、むしろ「こういうものだ」と割り切った方が早い。すなわち、日本語でどう言うか、ではなく、ロシア語でどう言うか、を考えるべきなのである。和露辞典で見つけた単語を機械的に使うのではなく、その使い方や例文を露和辞典で確認することが必須である。

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最終更新日 20 03 2015

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