Г02:述語副詞を使った文
抽象的な話になってしまったので、具体的に述語副詞を学んでいこう。
述語副詞一覧(一部のみ)
述語副詞については、ロシア語そのものを丸暗記するのが一番手っ取り早い。
- 自然や周囲の状態を表すもの
- хо́лодно : (気温が)寒い、(わたしは)寒く感じる
- прохла́дно : (気温が)涼しい、(わたしは)涼しく感じる
- ду́шно : 暑苦しい・蒸し蒸しする、(わたしは)息苦しい
- жа́рко : (気温が)暑い、(わたしは)暑く感じる
- тепло́ : (気温が)暖かい、(わたしは)暖かく感じる
- темно́ : (周囲が)暗い、(心が)暗い
- светло́ : (周囲が)明るい、(心が)明るい
- со́лнечно /со́нечна|со́нешна/ : 晴天だ
- те́сно : (空間が)狭苦しい、(心理的に)窮屈だ
- пу́сто : 空っぽだ・誰もいない、(わたしの気分が)虚ろだ
- споко́йно : 平穏だ・静かだ、心が安らかだ
- ти́хо : (周囲が)静かだ(音がしない)
- шу́мно : 騒がしい
- чи́сто : きれいだ・清潔だ、すがすがしい(気分だ)
- по́здно /по́зна/ : (時刻が)遅い、手遅れだ
- ра́но : (時刻が)早い、時期尚早だ
- 気分や感覚・判断を表すもの
- смешно́ : おかしい・滑稽だ(笑いたい気分だ)
- ве́село : 楽しい・陽気な気分だ
- прия́тно : 快い、気分がいい
- ую́тно : (場所や家具が)快適だ・居心地がいい
- удо́бно : 具合・都合がいい
- свобо́дно : 寛いだ気分だ、(主に場所が)空いている(使用されていない)
- хорошо́ : (状況・天気・気分が)良い
- пло́хо : (状況・具合が)悪い
- жа́ль : 気の毒だ・かわいそうだ、残念だ・惜しい
- жа́лко : 気の毒だ・かわいそうだ、残念だ・惜しい
- гру́стно /гру́сна/ : 悲しい、寂しい
- ску́чно /ску́шна/ : 寂しい、退屈だ
- оби́дно : いまいましい・腹立たしい・悔しい・ムカつく
- тру́дно : 難しい・大変だ、苦しい・辛い
- тяжело́ : 重い、苦しい・辛い
- легко́ /лихко́/ : 簡単だ、気が楽だ
- стра́шно : 怖い
- стра́нно /стра́нна/ : 奇妙だ(わたしは不思議に思っている)
- интере́сно : 興味深い
- сты́дно : 恥ずかしい
- дово́льно : 十分だ、もうたくさんだ
- доста́точно : 十分だ・足りている
- поня́тно : 明瞭だ(理解できる)
- пра́вильно : 正しい
- осторо́жно : (命令の意味でのみ)注意しろ
ロシア語の副詞は、基本的なものはその多くが述語副詞としても使うことができるが、使用頻度からするとここに挙げたものが一般的だろうか。
逆に言うと、ここに挙げられていない意味の文をつくりたい場合は、述語副詞を使わず、別の表現をするのが一般的である。たとえば「気分や感覚を表す」と言っても、よく言う喜怒哀楽のうち、ロシア人が普通に述語副詞で表現するのはせいぜい「哀」と「楽」だけだろう。
- 喜 : 形容詞を使う。
- 怒 : 動詞を使う(оби́дно もあり得る)。
- 哀 : гру́стно
- 楽 : ве́село、прия́тно
このほかに、「ボクは幸せだ」、「気分爽快だ」、「気分がすぐれない」なども、普通は述語副詞を使わない。
文法的な話になるが、文の構造面から見ても、「AはBだ」と述語副詞を使った文との違いが、日本人にはわかりづらい。
- 今日は寒い。
- わたしは悲しい。
- 部屋は静かだ。
- 外はまだ暗い。
など、いずれも日本語では「AはBだ」(B=形容詞)という構造を持っているが、これがロシア語では述語副詞を使った文になる。
このようなズレにどう対処したらいいのか。どのような文が「AはBだ」になり、どのような文で述語副詞を使うのか。
答えは単純だ。ロシア人が述語副詞を使う場合に述語副詞を使うということである。だからこそ、上でも述べたように、上掲の述語副詞を丸暗記するのが一番手っ取り早いのである。
#44 述語副詞を使うかどうかは、意味・表現・状況・単語ごとに異なる。
なお、ごく大雑把な目安として、次のように言うことができる。
- わたしは賢い = わたしは賢い人間だ ⇒ 「賢い」は形容詞(「AはBだ」)
- わたしは恥ずかしい ≠ わたしは恥ずかしい人間だ ⇒ 「恥ずかしい」は述語副詞
ただしこれが通用するのは、一部の単語のみ。
否定と疑問、時制
なお、否定と疑問、時制の表現については、すでに学んだことをそのまま応用するだけである。
疑問は、
- 口頭では、特殊なイントネーションで発音する。
- 文字では、文末を「 . 」や「 ! 」ではなく「 ? 」にする。
否定は не を加えるだけ。普通は述語副詞の前に置く。
述語副詞が単独で表現するのは現在時制であり、過去時制・未来時制は быть の変化形を挿入する。この点もまた「AはBだ」と同じである。
問題は、動詞(быть)は主語に応じて変化するが、述語副詞だけの文に主語はない、という点である。仕方がないのでこの場合、単数三人称中性にする。つまり、過去形は бы́ло、未来形は бу́дет である。
#45 述語副詞を使った文に быть を挿入する場合、変化語尾は単数三人称中性になる。
- Стра́нно. 「おっかしいなぁ」
- Уже́ по́здно. 「もう遅い」
- Ещё не по́здно. 「まだ遅くない」
- Не сты́дно? 「恥ずかしくないの」
- Бы́ло тру́дно. 「大変だったよ」
- Сего́дня бы́ло хо́лодно? 「今日は寒かった?」
- Ско́ро бу́дет светло́. 「もうすぐ明るくなる」
- О́чень прия́тно. 「はじめまして」
уже́(副詞)すでに・もう
ещё(副詞)さらに・もっと、まだ
сего́дня /сево́дня/(副詞)今日
ско́ро(副詞)もうすぐ
このほか、«Как дела?» など時候のあいさつに対する答えは、多くが述語副詞を使った文である。