ロシア学事始

ロシアの気候

こんにちおそらく最も一般的なヴラディーミル・ケッペン(ちなみにかれはドイツ人気象学者だが、ロシア生まれロシア育ち)の気候区分に従うと、ロシアはほとんどが亜寒帯(冷帯)に属する。
 乾燥帯に属する砂漠気候やステップ気候が、シベリア南部のアルタイ地方に若干見られる。ステップ気候という言葉の基となったステップは南ロシアからウクライナにかけて広がる黒土地帯だが、気候区分に従うとここは通常ステップ気候には属さない(ステップ気候よりも寒冷なため)。
 また温帯も、温暖湿潤気候や地中海性気候に属する地域が黒海沿岸部からカスピ海沿岸部にかけて点在する程度である。
 寒帯に属するトゥンドラ気候が北極海沿岸部に東西に広がっている。
 残りはほぼすべて亜寒帯(冷帯)に属する。黒土地帯もここに属する。

 最も暑い月の平均気温は、北極圏の +1°C からカスピ海沿岸部の +25°C まで。最も寒い月の平均気温は、黒海沿岸の +6°C から北東シベリア(サハ)の -50°C まで。

 細かいことを論じる場でもないし、筆者にその力もないので、以下に代表的な都市のデータを挙げる。

代表的都市の気候

 1971-2000(出典『理科年表』)。

 ちなみにヴラディヴォストークと旭川がほぼ同じ北緯。モスクワ、サンクト・ペテルブルグ、オイミャコンはそのはるか北に位置する。

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気温の月別平年値

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月通年
モスクワ-7.5-6.7-1.46.412.817.118.416.510.85.0-1.6-5.55.3
サンクト・ペテルブルグ-6.1-6.0-1.54.510.915.918.116.411.25.6-0.1-3.95.4
オイミャコン-45.9-42.2-32.3-14.02.412.014.310.21.6-15.3-36.7-45.7-16.0
ヴラディヴォストーク-12.6-9.2-2.04.89.713.317.719.615.78.6-1.0-9.14.6
東京5.86.18.914.418.721.825.427.123.518.213.08.415.9
旭川-7.9-7.2-2.35.211.316.420.221.015.68.71.8-4.46.5

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降水量の月別平年値

1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月通年
モスクワ46.536.033.139.253.185.989.680.067.165.659.050.2705.3
サンクト・ペテルブルグ38.128.734.132.737.463.576.775.865.963.856.447.8620.9
オイミャコン7.56.74.35.711.733.046.737.921.215.411.67.5209.1
ヴラディヴォストーク9.015.723.155.474.2117.7140.3153.1132.859.825.916.9823.9
東京48.660.2114.5130.3128.0164.9161.5155.1208.5163.192.539.61466.7
旭川74.151.554.155.865.463.898.9137.5135.8117.6120.898.91074.2

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寒極

 寒極とは要するに最も寒い場所ということだが、実は北半球の寒極も南半球の寒極も、どちらもロシア領(?)である。
 南半球の寒極は、南極大陸東部にあるロシアの観測基地ヴォストーク。1983年7月21日、ここで -89.2°C を観測した(-88.3°C という記述もある)。ちなみに、ヴォストーク基地は標高 3 488 m の高地にある。
 北半球の寒極は、ロシアのサハ共和国(ヤクーティヤ)のヴェルホヤンスクとオイミャコンがその候補である。ヴェルホヤンスクでは、1885年1月15日に -67.8°C を記録した。他方オイミャコンでは、1933年2月に -67.7°C を記録している。しかし非公式ながら、1924年には -71.2°C を、1938年には -77.8°C を記録したとも言われる。正確な記録がどうであれ、人類が定住している地点での観測気温としては地球上の最低記録であることに違いはない。このため、ヴェルホヤンスクとオイミャコンとが «最も寒い場所» を巡って争っている。

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最終更新日 10 07 2011

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