ロシア学事始ロシア用語の基礎知識

ロシア用語:ヒ

ピオネール
ロシア語で «パイオニア» という意味の普通名詞。西欧のボーイスカウト運動を模倣してソ連でつくられたのが «ピオネール運動» である。このため日本では、ピオネールと言った場合にはこちらを指す。夏休みにはキャンプが実施され、クリミア、カフカーズ、極東などに全ソ的なピオネール・キャンプ場があった。ちなみにロシア語で «ラーゲリ» と言えば、日本では強制収容所の意味しか知られていないが、ピオネール・キャンプもまたラーゲリである(そもそも «ラーゲリ» は「キャンプ」、「野営地」という意味)。将来の共産主義の闘士を育成するための思想教育機関という側面もあり、メンバーは選抜制。14歳ころにはピオネールからコムソモールへと引き抜かれるのが、ソ連での典型的エリート・コースであった。『チェブラーシュカ』でも描かれるように、ソ連時代の子供にとってはピオネールのシンボルである赤いネッカーチーフは憧れの的だった。少なくとも反体制でない子供たちにとっては。昔ロシアのTVドラマで、ロシアン・マフィアの強面のおっさんが「ガキの頃はピオネールの赤いネッカーチーフを首に巻くのが夢だった」と回想しているシーンがあった(記憶が曖昧だが、確かかれは素行不良で入団を拒否されたらしい)。
「美が世界を救う」
ドストエーフスキイ『白痴』の主人公レフ・ムィシュキン公のセリフ。もっとも、作中では「ムィシュキン公は『美が世界を救う』などと言っているが、それはかれが恋をしているからだ」という第三者のセリフで引用されるのみ。
ビストロ
パリ発の大衆食堂。19世紀末からその存在が知られる。しかし語源は不明。ロシアでは、ビストロ bistro/bistrot の語源はロシア語の «ブィストロ быстро» だという説が一般に信じられている。それによれば、1815年のロシア軍によるパリ占領の際、カフェでロシア人将校(あるいはコサック)が「ブィストロ(急げ)」と叫んだのが由来だとか。もっとも言語学者はこの説を否定しているようだが。
火の鳥
民話のメインキャラクター。と言っても主役を張ることはなく、たいていは主人公に追いかけられたり、主人公を助けたりする役柄である。ひとつひとつの羽が光っているようだが、全体で燃えているような記述も見られ、具体像ははっきりしない(お話だから)。ロシア人は平均的に、どことなく孔雀っぽいイメージを持っているようだ。手塚治虫の火の鳥の原像。
『ひまわり』
1970年イタリア映画。監督はヴィットーリョ・デ・シーカ。主演はマルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレン。『戦争と平和』のナターシャ役で世界にその名を知られたリュドミーラ・サヴェーリエヴァがソフィア・ローレンと張り合っている。ソ連でロケを行った最初の西側映画であり、マルチェロ・マストロヤンニが保護されていた村は、モスクワ郊外(現在は市内)のザハルコヴォ。ただし一面のひまわり畑はソ連ではなくスペイン。ソ連社会の描き方がかなり甘いが、それも仕方あるまい。
『百万本のバラ』
日本では加藤登紀子の歌だと思っている人が多いが、ロシア(ソ連)の歌手アラ・プガチョーヴァが1982年に発表したロシアン・ポップスである。
ピョートル大帝
1672-1725。ツァーリ(1682-1721)、皇帝(1721-25)。形式的には、初代のロシア皇帝である。自らオランダやイギリスに視察に赴き、強制的にロシアを西欧化(しようと)した。その結果、保守的なロシア人からは «アンチ・キリスト» と忌み嫌われた。その一方で、北方戦争(1700-21)を通じて «北方の大国» の地位を確立し、ロシア海軍を創設、種々の行政上・軍事上の改革を実施し、近代ロシアの父として称賛されている。サンクト・ペテルブルグもかれの創建。
ピロゴフ ニコライ
1810-81。外科医。クリミア戦争に従軍し、ギプスの改良、エーテル麻酔の導入、従軍看護婦制度の創設で有名。

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最終更新日 16 11 2016

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