Н03:文頭の小詞
разве = неужели
疑問文の文頭につけて、話者・筆者の疑い・不信・驚きを示す。
серди́ться(不完了体動詞) ⇔ рас-(完了体動詞)
怒っている
моше́нник(男性名詞)詐欺師・ペテン師
трево́жно(副詞)不安そうに・心配げに
ма́г(男性名詞)古代ペルシャの神官、魔術師・魔法使い
- Ра́зве э́то пра́вда? 「これってホントにホント?」
- Ра́зве о́н придёт? 「マジであいつ来るの?」
- Ра́зве я́ тебе́ не говори́л? 「お前に言ってなかったっけ?」=「だから言ったじゃんか」
- Ра́зве о́н учи́тель! 「あれで教師かよ」
- ─ Ста́лин у́мер. 「スターリンが死んだってよ」
─ Ра́зве? 「マジ?/まさか」 - Почему́ же вы́ се́рдитесь? Ра́зве я́ сказа́л ва́м что́-нибу́дь неприя́тное? 「なんだって怒ってらっしゃるんです? わたし何か不愉快なことでも言いました?」『巨匠とマルガリータ』
- ─ Неуже́ли моше́нники? ─ Трево́жно спроси́л у го́стя ма́г. ─ Неуже́ли среди москвиче́й е́сть моше́нники? 「『まさか詐欺師ですか?』魔術師は不安気に客に尋ねた。『モスクワ市民の中に詐欺師なんかいるんでしょうか』」『巨匠とマルガリータ』
вот
本来は、目の前にあるものを指して「ほら、これ」。
それが転じて、主格の名詞とともに用いられて「ほら、これが〜だ」。
さらに与格とともに用いられると「ほら、これが与格への〜だ」⇒「はい、この〜を与格にあげる」という意味になる。
その他、вот には実に様々な用法があり、ここでは紹介しきれないので、辞書などを通じて徐々に覚えていこう。
пра-(前綴)曾〜 ※правнук「曽孫」、прапрабабушка「曾々祖母」
- Во́т мо́й до́м. 「ほらおれんちだよ」
- Во́т о́н. 「これがかれ(それ)だよ」
- Е́сли ва́м ну́жен хоро́ший учи́тель англи́йского языка́, во́т о́н. 「良い英語教師が必要なら、かれがそうです/かれがいますよ」
- Во́т слова́рь. 「はい、辞書」
- Во́т тебе́. 「はいこれ(きみに)」
- Во́т тебе́ кни́га. 「ほら、きみの本」
- Во́т тебе́ письмо́. 「手紙来てるよ」
- Во́т и я́. 「はい来たよ」「ただいま」(登場の際に発するセリフ)
- Во́т та́к. (話の終わりに)「つまりこういうことだったんだよ」
- Во́т та́к о́н и ста́л учи́телем. 「こうしてかれは教師になりました」
- Во́т э́то да́. 「こいつはうまい」
- Во́т что̀ я́ купи́л. 「ほらこれがおれの買ったもの」
- Во́т в чём вопро́с. 「まさにここに問題がある」
- Оди́н ма́льчик говори́т своему́ бра́ту: 「ある男の子が弟に言う
─ Зна́ешь, на́ши праба́бушки и праде́душки не зна́ли ни ра́дио, ни телеви́зора. 『なあ、ぼくらのひい爺ちゃんやひい婆ちゃんは、ラジオもテレビも知らなかったんだぜ』
─ Ка́к же они́ могли́ жи́ть? 『それでどうして生きてられたの?』
─ Во́т они́ и у́мерли. 『だから死んじゃったんだよ』」
пусть | пускай
文法的なことを言うと、この пусть と、次の давай は、命令法一人称・三人称(時には二人称も)をつくる小詞である。命令法については、詳しくは中級レベルで学ぶことにしよう。
бере́чь(不完了体動詞) ⇔ сбере́чь(完了体動詞)
対格を大事に保管しておく、大事に使う・節約する、守る・保護する
- 命令法一人称
- Молчи́, пу́сть я́ расскажу́. 「黙ってろ。おれに話させろよ」
- Пу́сть я́ сде́лаю са́м. 「自分でやらせて」
- 命令法三人称
- Пу́сть бу́дет та́к. 「そうさせておきなさい」「そういうことにしよう」
- Пу́сть они́ игра́ют. 「あいつらは遊ばせておけ」
- 念のため。不完了体動詞は、いわゆる進行形の意味を持つ(ことがある)。つまり、かれらはいまこの時、遊んでいるのである。だからこの文は、「そのまま遊ばせておけ」というニュアンスになる。これに対して、完了体動詞に現在時制はない。つまり完了体動詞を使った場合は、いま現在は動作が行われていない。「未来において〜〜させてやれ」というニュアンスになるのである。
- Пу́сть о́н придёт за́втра, и я́ с ни́м поговорю́. 「かれに明日来させなさい。その上でわたしがかれと話してみます」
- Пу́сть говоря́т, что́ хотя́т. 「言いたいこと言わせとけ」
- Пу́сть о́н вспо́мнит де́вушку просту́ю, 「かれに素朴な乙女を思い出させてあげて」
Пу́сть услы́шит, ка́к она́ поёт, 「乙女の歌声を聞かせてあげて」
Пу́сть о́н зе́млю бережёт родну́ю, 「母なる大地を守らせてあげて」
А любо́вь Катю́ша сбережёт. 「愛はカチューシャが守るから」『カチューシャ』
давай
пыта́ться(不完了体動詞) ⇔ по-(完了体動詞)
試みる・やってみる
спо́рить(不完了体動詞) ⇔ по-(完了体動詞)
論争・議論する、口喧嘩する、争う・戦う
ша́хматы(複数名詞)チェス
- 小詞
- + 一人称単数(⇔ дай)
- Дава́й я́ тебе́ помогу́. 「手伝ってやるよ」「手伝わせてよ」
- Да́йте я́ попыта́юсь. 「わたしにやらせてみてください」
- + 一人称複数(未来時制)
- Дава́й поговори́м. 「ちょっとお話しよ」
- Дава́йте не бу́дем спо́рить. 「口論はよしましょ」
- + 動詞不定形(不完了体動詞)
- Дава́йте за́втракать. 「お昼にしましょう」
- Дава́й игра́ть в ша́хматы. 「チェスやろう」
- + 二人称命令法
- Дава́й, дава́й! 「さっさとやれ」
- Дава́й уходи́. 「さあ行っちまえ」
- Дава́йте по дома́м. 「みんな家に帰りなさい」
- + 一人称単数(⇔ дай)
- 動詞の命令形(⇔ дай)
- Да́йте мне́ потро́гать. 「ちょっと触らせてください」
- Да́й поду́мать. 「ちょっと考えさせて」
это
厳密に文法的に言うと、以下のような это の用法については小詞と考える学者と代名詞(つまり этот の単数中性)と考える学者がいるようだ。
скри́пка(女性名詞)バイオリン
винова́тый(形容詞)罪・責任のある
спасти́(完了体動詞) ⇔ спаса́ть(不完了体動詞)
対格を救う
вина́(女性名詞)罪・過失
пока́(副詞)いまのところ・当分、しばらく・さしあたり
(接続詞)〜している間、〜するまで・しないうちに
тропи́ческий(形容詞)熱帯の
ве́дь(接続詞)〜なので・だから
(小詞)本当に・確かに・まったく
зве́рь(男性名詞)ケモノ(動物・野獣)
сло́н(男性名詞)ゾウ
жира́ф(男性名詞)キリン
за́яц(男性名詞)ウサギ(特に野ウサギ)
борьба́(女性名詞)戦い、試合・勝負、取っ組み合い・レスリング・格闘技
тео́рия(女性名詞)理論
революцио́нный(形容詞)革命の
обновле́ние(中性名詞)更新・一新・刷新
надзира́тельница(女性名詞)監督官・監視人
суро́во(副詞)厳しく・いかめしく、峻厳に・厳格に
нака́зывать(不完了体動詞) ⇔ наказа́ть(完了体動詞)
対格を罰する
незна́ние(中性名詞) «« не- + зна́ние(中性名詞)知っていること・知識
уро́к(男性名詞)授業・課・レッスン、宿題、教訓
систе́ма(女性名詞)システム・体系・系統、手順・方式
це́нность(女性名詞)価格・値段、価値・意義、貴重品
цивилизацио́нный(形容詞)文明の
поня́тие(中性名詞)概念、知識・理解・情報
географи́ческий(形容詞)地理学の、地理上の
измере́ние(中性名詞)測量・測定・計測、次元
- 文頭
文頭に置いて、前文、相手の言動、状況などを指し、特に直後の単語を強調する。- ─ В две́рь стуча́т. 「誰かノックしてるよ」
─ Э́то оте́ц верну́лся. 「あれは親父が帰ってきたんだよ」 - Ах, э́то Ми́тя игра́ет на скри́пке. 「ああ、あれはミーテャがバイオリン弾いてるんだよ」
- Э́то ты́ винова́та. 「そりゃお前が悪い」
- Почему́ вы́ са́ми не сказа́ли, что э́то вы́ спасли́ её? 「どうして自分で言わなかったんですか、あれはあなたが彼女を救ったんだって」『両棲人間』
- Я́ про́сто зо́л. Не на тебя́ ─ на себя́. Э́то я́ отвеча́ю за всё, что зде́сь происхо́дит, и э́то моя́ вина́, что та́к получи́лось. 「まったく腹が立つ。きみにじゃない、自分にだ。ここで起こったことすべてに責任を負うのはわたしだし、こうなってしまったのもわたしのせいだ」『収容所惑星』
- зол は злой の短語尾。злой は「悪意のある」「意地悪い」という意味だが、短語尾だと「怒っている」という意味になる。怒っている対象は、на+対格で示される。
- ここのふたつの что の用法は学んでいない。最初は всё, что ... で「〜するすべて」という意味になる、всё を修飾する関係代名詞である。詳しくは中級で学ぶことにする。ふたつめは接続詞であるが、これは что という単語の用法であるから、辞書等で確認していただきたい(当コンテンツでは言及はしても詳述する予定はない)。
- Верне́е, снача́ла его́ ника́к не зва́ли, пока́ о́н жи́л в своём тропи́ческом лесу́. А назва́ли его́ Чебура́шкой пото́м, когда́ о́н из ле́са уе́хал и встре́тился с людьми́. Ве́дь э́то же лю́ди даю́т зверя́м имена́. Э́то они́ сказа́ли сло́ну, что о́н сло́н, жира́фу ─ что о́н жира́ф, а за́йцу ─ что о́н за́яц.
「と言うか、最初かれには名前がありませんでした。熱帯林に住んでいる間は。チェブラーシュカという名前になったのはその後、森を去って人間と出会ってからのことです。と言うのも、ケモノに名前をつけるのは人間だからです。人間がゾウに『きみはゾウだよ』と言ったのだし、キリンに『きみはキリンだよ』と、ウサギに『きみはウサギだよ』と言ったのです」『わにのゲーナと仲間たち』
- ─ В две́рь стуча́т. 「誰かノックしてるよ」
- 疑問詞の強調
疑問詞の直後に置いて、疑問詞を強調する。- Кто́ э́то пришёл? 「一体誰が来たんだろう?」
- О чём э́то о́н ду́мал? 「一体何考えてたんだか」
- Куда́ ж э́то та́к спеши́шь? 「そんな急いで一体どこ行くんだ?」
- 代名詞的用法
「AはBだ」現在時制の文で、─(横棒)の直後に置いて、定義文をつくる。- Жи́знь ─ э́то борьба́. 「人生とは闘争である」
- Ленини́зм ─ э́то тео́рия революцио́нного обновле́ния ми́ра. 「レーニン主義、それは世界の革命的刷新の理論である」(アンドローポフ)
- Исто́рия ─ э́то не учи́тельница, а надзира́тельница: она́ ничему́ не у́чит, но суро́во нака́зывает за незна́ние уро́ков. 「歴史とは、教師ではなく監督である。何も教えてくれないが、教訓を知らない罪を厳しく罰する」(クリュチェーフスキイ)
- Ру́сь ─ э́то систе́ма це́нностей, э́то цивилизацио́нное поня́тие, кото́рое, коне́чно, име́ет и своё географи́ческое измере́ние. 「ルーシとは、価値体系である。それは文明的概念であるが、もちろん、それ自身の地理的次元も有している」(総主教キリール)
- Русь とは、こんにち一般的には「ロシア」の雅語とされている。おそらく総主教キリールも、ここでは、やはりロシアと同じような意味で使っているものと思われる。
あえて言うならば、Россия が地理的・行政的文脈で用いられるのに対して、Русь には歴史的・文化的・民族的・言語的ニュアンスが強い。それぞれの形容詞 российский と русский の用法の違いが、それを如実に物語っている。総主教キリールも、そのようなニュアンスを意識してここでは Русь を使っているのかもしれない。- ロシア連邦 Российская Федерация、ロシア皇帝 Император Всероссийский、ロシア科学アカデミー Российская академия наук
- ロシア語 русский язык、ロシア文学 русская литература、ロシア正教会 Русская православная церковь、ロシア人 русский
- Русь とは、こんにち一般的には「ロシア」の雅語とされている。おそらく総主教キリールも、ここでは、やはりロシアと同じような意味で使っているものと思われる。