ロシア語講座:初級

Л02:仮定・願望

仮定法とは、すでに述べたように、

というものである。このような仮定をする意味としては、

  1. 純粋に頭の体操として仮定してみる。
  2. 「本当はこうなる筈だったのに」「こうなってくれたら良いのに」という願望(後悔・非難・妄想)を表明する。

のふたつの場合が多いだろう。と言うよりも、このふたつを厳密に区別することは、多くの場合できないだろう。
 いずれにせよ、このような仮定をする場合、そのための条件を提示することが必要になる。

もしAがBだったら、CはDしていただろうに。

というのが、仮定法の文の基本パターンであると言える。

вступи́тельный(形容詞)始めの・始まりの・導入部の・導入用の、入学の・入会の
ка́чество(中性名詞)質・品質・素質
 ※в ка́честве 生格の資格で
почётный(形容詞)尊敬すべき、名誉の
наблюда́ть(不完了体動詞) ⇔ ─(完了体動詞)対格を注視する・観察する
пара́д(男性名詞)パレード
та́нк(男性名詞)戦車
непобеди́мый(形容詞)打ち負かしがたい・克服しがたい・抑えがたい、無敵の
завоева́ть(完了体動詞) ⇔ завоёвывать(不完了体動詞)対格を征服する・戦い取る
се́й(代名詞)この(古語)
пора́(女性名詞)時
 ※до си́х по́р いままで・これまで

 以上の例から、次のような法則性が読み取られる。

もっともこれはいずれも「よく見られる」というだけのことであって、文法的にこうでなければならない、というものではない。

#219 「もし〜なら」は если бы で始め、「〜だろうに」では述語動詞の後に бы を挿入するのが一般的。

 条件を示すだけで終わる場合もある。

крыло́(中性名詞)翼
простуди́ться(完了体動詞) ⇔ простужа́ться(不完了体動詞)風邪をひく
хо́ть(小詞)せめて
разбуди́ть(完了体動詞) ⇔ буди́ть(不完了体動詞)対格を目覚めさせる
проигра́ть(完了体動詞) ⇔ прои́грывать(不完了体動詞)対格(もの)・与格(人)に負ける、対格を失う
би́тва(女性名詞)会戦

 これとは逆に、従属文(条件文)なし、主文だけの場合もある。
 たとえば、条件が前後のコンテキストから明らかな場合である。

мэ́р(男性名詞)市長
испо́лниться(完了体動詞) ⇔ исполня́ться(不完了体動詞)成就する・実現する、満了する

 主語それ自体が条件になっている場合もある。

сня́тие(中性名詞)取り除くこと・除去・解除、撮影
са́нкция(女性名詞)裁可・認可・批准、処罰・制裁
по́льза(女性名詞)利益・効用

 条件が条件文以外の形で表されることもある。

усло́вие(中性名詞)条件、要求、状況・環境(複数)
согласи́ться(完了体動詞) ⇔ соглаша́ться(不完了体動詞)на+対格に同意する、不定形することに同意する、с+造格に賛同する
красота́(女性名詞)美しさ・美

Бу́дь но́с Клеопа́тры чуть покоро́че, о́блик Земли́ ста́л бы ины́м. 「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界は変わっていただろう」(パスカル)
日本語でもそうだが、ロシア語でも定訳はないので、微妙に違う文もある。たとえば、Бу́дь но́с Клеопа́тры чуть покоро́че, ве́сь ли́к земли́ измени́лся бы. ちなみに、原文では "Le nez de Cléopâtre, s'il eût été plus court, toute la face de la terre aurait changé."「もしクレオパトラの鼻がもっと短ければ、地球の顔全体が変わっていただろう」

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最終更新日 15 10 2018

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