Е22:II 式 3
говори́ть(不完)
⇔ сказа́ть(完) 変化形式は I 式不規則(後ほど学ぶ)
- 話す・喋る
- 対格・従属文を言う
※за́говор(男性名詞)陰謀・密約
※перегово́ры(複数名詞)交渉・話し合い
※погово́рка(女性名詞)決まり文句
※разгово́р(男性名詞)会話
※разгова́ривать(不完) ⇔ ―(完)会話をする
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | говорю́ | говори́л | |
女 | говори́ла | |||
ты | 男 | говори́шь | говори́л | говори́ |
女 | говори́ла | |||
он | 男性名詞 | говори́т | говори́л | ||
она | 女性名詞 | говори́ла | |||
оно | 中性名詞 | говори́ло | |||
мы | говори́м | говори́ли | ||
вы | говори́те | говори́те | ||
они | 名詞の複数形 | говоря́т |
алло́ /ало | алё/(間投詞)もしもし
пра́вда(女性名詞)真実
ло́жь(女性名詞)嘘
- Говори́т Москва́. 「モスクワがしゃべっています」=「こちらはモスクワ放送です」
- Алло́? Э́то говори́т Ви́ктор. 「もしもし、こちらはヴィークトルです」
- Мо́й сы́н ещё не говори́т. 「うちの息子はまだしゃべれない」
- Я́ говорю́ по-ру́сски. 「ぼくはロシア語を話す・話せる」
- ロシア語ではこのような場合、*говорить русский язык とは言わないし言えない。по-ру́сски、по-япо́нски、по-англи́йски、по-францу́зски、по-неме́цки、по-кита́йски などを使う。
- Вы́ хорошо́ говори́те по-япо́нски. 「あなたは日本語で上手に話しますね」=「あなたは日本語がお上手ですね」
- Моя́ ма́ть пло́хо говори́ла по-ру́сски. 「母はロシア語で下手に話しました」=「母はロシア語が下手でした(苦手でした)」
- О́н всегда́ говори́л пра́вду. 「かれはいつも本当のことを言っていた」
- Я́ никогда́ не говори́л тебе́ ло́жи. 「ぼくは一度もきみに嘘を言ったことはない」
- ложи は生格(否定生格)。
- Говоря́т, что по-ру́сски говори́ть тру́дно. 「ロシア語は難しいという話だ」
- この文に、主語はない。говорят は複数三人称だから、主語は они か複数名詞のはずだが、それが欠けている。省略されているわけではない。そういう文なのである。
ロシア語には、こういった «主語のない文» がある。文法的な話は後でするとして、とりあえず、形式的には 1) 主語がない、2) 動詞が複数三人称。意味的には「みんなが」、あるいは「誰かが」が主語だ、と覚えておこう。
だからこの文も、「みんながこう言っている」、あるいは「誰かがこう言っている」という意味である。
- この文に、主語はない。говорят は複数三人称だから、主語は они か複数名詞のはずだが、それが欠けている。省略されているわけではない。そういう文なのである。
- Говоря́т, что за́втра бу́дет до́ждь. 「明日は雨だそうだ」
- Я́ поговори́л с ни́м о де́ле. 「わたしはかれと仕事について(少し)話した」
- У ва́с е́сть вре́мя поговори́ть со мно́й? 「少し(話をする)お時間ありますか?」
договори́ться(完) ⇔ догова́риваться(不完) ※不完は I 式規則変化
- о+前置格・動詞不定形・従属文で合意する
※догово́р(男性名詞)条約・契約
цена́(女性名詞)価格・値段・料金
встре́ча(女性名詞)出会い、面会・会見
се́мь(数詞)7
- Мы́ договори́лись о цене́. 「われわれは値段について折り合いをつけた」
- Мы́ договори́лись о встре́че. 「われわれは会見について合意に達した」
- Мы́ договори́лись встре́титься в се́мь. 「われわれは七時に会うことで合意した/会うことを約束した/デートすることにした」
- 「何時に」という言い方はいずれ学ぶとして、とりあえずここでは в семь で「7時に」という言い方だと理解しておいていただきたい。
- ─ Договори́лись?
─ Договори́лись.- 交渉・話し合いの最後に念を押す・確認をする言い方。たとえば「明日7時に会う・デートする」という話し合いをした末に、「以上で問題・異論はないね? 大丈夫だね?」というニュアンスで «Договорились?» と一方が聞けば、もう一方も「それでOK」という意味で «Договорились.» と返す。ロシア人と何かを決める際には必須の会話パターンである。
уговори́ть(完) ⇔ угова́ривать(不完) ※不完は I 式規則変化
- 対格を動詞不定形・従属文と説得する
※угово́р(男性名詞)説得
но̀(接続詞)しかし
та́к и(熟語)結局(〜ない)
То́ля(男性名詞)男性名 Анато́лий の省略形
а́втор(男性名詞)筆者・作者・作家 ※男女不問
рома́н(男性名詞)長編小説(もっとも、単に長さが問題ではない)
Но́нна(女性名詞)女性名
переста́ть(完) ⇔ перестава́ть(不完)やめる
кури́ть(不完) ⇔ ―(完)喫煙する・タバコを吸う
- Я́ его́ угова́ривал учи́ться в Москве́, но та́к и не уговори́л. 「わたしはかれにモスクワ留学を勧めたが、説得することはできなかった」
- уговаривал は不完了体動詞で、уговорил は完了体動詞。これは日本人にはかなりわかりづらい不完了体・完了体の使い分けである。
まず、«結果達成動詞» と呼ばれる動詞がある。これは、完了体がある結果の達成を意味し、不完了体はその結果達成にいたる過程を示す動詞である。これが具体的にどの動詞かは、実は厳密な定義がない。だから別に辞書も分類してくれていない。意味や現実のロシア人の使い方からわたしたちが勝手に判断するしかない。だから、そもそも «結果達成動詞» などという用語を覚える必要もない。
このような «結果達成動詞» は、不完了体が「結果を出そうと試みる」という意味で使われることがある。そのような場合、例のような文が出来るのである。- Я вспоминал, но так и не вспомнил. 「わたしは思い出そうとしたが、結局思い出せなかった」 ※完了体動詞 вспомнить は「思い出す」。だから不完了体動詞 вспоминать は「思い出そうと試みる」。
- Я решал, но так и не решил. 「わたしは解こうとしたが、結局解けなかった」 ※完了体動詞 решить は「解く」。だから不完了体動詞 решать は「解こうと試みる」。
- Я изучал, но так и не изучил. 「わたしは勉強したが、結局マスターできなかった」 ※完了体動詞 изучить は「勉強して身につける」。だから不完了体動詞 изучать は「身につけようと勉強する」。
- ロシア語には「留学」という特別な単語は存在しない。
- уговаривал は不完了体動詞で、уговорил は完了体動詞。これは日本人にはかなりわかりづらい不完了体・完了体の使い分けである。
- То́ля уговори́л а́втора писа́ть но́вый рома́н. 「トーリャは作家に新作を書くよう説得した」
- То́ля угова́ривал а́втора писа́ть но́вый рома́н. 「トーリャは作家に新作を書くよう説得した」
- このふたつはわざと同じ日本語訳にしたが、意味はぜんぜん違う。完了体動詞 уговорить を使った上の文では、トーリャは作家先生を口説き落とし、新作の執筆を承諾させた。つまりウンと言わせたのである。
これに対して不完了体動詞 уговаривать を使った下の文では、- ウンと言わせていない。ウンと言わせるまでの過程にあることを意味し、言わば「言わせようとして口説いた/口説いていた」。
- ウンと言わせた。その反復を表し、「何度も」とか「いつも」。
- ウンと言わせた。その事実確認をしている。だから場合によっては「言わせたことがある」という意味にもなる。
- ウンと言わせた。しかし不完了体はその後については無関心なので、実際には作家は新作を執筆しなかったかもしれない。その点、完了体は「その結果こうなりました」を含意するので、уговорить を使った上の文では実際に作家は新作の執筆に取りかかったはずである。
- このふたつはわざと同じ日本語訳にしたが、意味はぜんぜん違う。完了体動詞 уговорить を使った上の文では、トーリャは作家先生を口説き落とし、新作の執筆を承諾させた。つまりウンと言わせたのである。
- Ди́ма уговори́л Но́нне переста́ть кури́ть. 「ディーマはノンナに喫煙をやめるよう説得した(完)」=「ディーマはノンナを説得して禁煙させた」(ディーマの説得でノンナは禁煙した)
звони́ть(不完) ⇔ позвони́ть(完)
- (ベル・鈴・鐘を)鳴らす
- (ベル・鈴・鐘・電話が)鳴る
- 与格に電話する
※звоно́к(男性名詞)ベル・鈴、電話 ※電話機は телефо́н
主語 | 現在形 | 過去形 | 命令形 | |
---|---|---|---|---|
я | 男 | звоню́ | звони́л | |
女 | звони́ла | |||
ты | 男 | звони́шь | звони́л | звони́ |
女 | звони́ла | |||
он | 男性名詞 | звони́т | звони́л | ||
она | 女性名詞 | звони́ла | |||
оно | 中性名詞 | звони́ло | |||
мы | звони́м | звони́ли | ||
вы | звони́те | звони́те | ||
они | 名詞の複数形 | звоня́т |
- Звони́т телефо́н. 「電話が鳴っている」
- Мне́ звони́ли? 「ぼくに電話あった?」
- この文にも主語がない。他方、述語となっている動詞は複数三人称の形である。すでに述べたように、このような文では意味的には「みんなが」か「誰かが」が主語である、と理解しておこう。当然ながら、この場合は「誰か」である。「誰でもいいけど誰かぼくに電話してきた?」と言っているのだ。
ただし、たまたま主語が省略されている、という場合は話が別である。 - なお、この文で不完了体動詞 звонить を使っているのは、「事実確認」である。
- この文にも主語がない。他方、述語となっている動詞は複数三人称の形である。すでに述べたように、このような文では意味的には「みんなが」か「誰かが」が主語である、と理解しておこう。当然ながら、この場合は「誰か」である。「誰でもいいけど誰かぼくに電話してきた?」と言っているのだ。
- Тебе́ звони́л како́й-то мужчи́на. 「どっかの男の人からあんたに電話があったよ」
- この文も、«Тебе звонили.» でも十分。какой-то мужчина 「どっかの男の人」など言わずもがなの情報である。それでも、日本語と同じく、ロシア語でも、その言わずもがなの情報を言いたいことがある。そうなると、звонил ⇔ звонили と動詞が変化する。
- Звони́те мне́ на рабо́ту. 「電話は職場の方にお願いします」
- Позвони́те мне́ домо́й. 「自宅に電話してください」
- 不完了体動詞 звонить は、この場合、経過や状態を示しているわけではない。反復である。これに対して完了体動詞 позвонить は一回の行為を示す。つまり、«Позвоните» が「今回限り」であるのに対して、«Звоните» は「いつでも」である。もっとも、完了体と不完了体の使い分けの基準はほかにもある。