ロシア語講座:初級

В11:名詞の複数形(不規則変化)

«不規則» という言葉をどう解釈するかにもよるが、前述のパターンから少しでもはずれるものを不規則とするならば、次の3パターンが考えられる。

  1. 母音が現れたり消えたりするもの(出没母音があるもの)
  2. 男性名詞・女性名詞なのに -ы/-и にならない、中性名詞なのに -а/-я にならないもの
  3. 語幹が変化するもの
  4. 変化語尾が独特

出没母音

 単語の語形変化にともなって母音が現れたり消えたりすることがある。このような、現れたり消えたりする母音を «出没母音» と呼ぶ。
 ロシア語における出没母音の規則は非常に煩雑である。実践的には、そんな規則を理解し覚えるよりも、個々に対応した方がはるかにたやすい。ただし、単数形と複数形との対比に限定して言うと、次のようなことは言える。

 以下、具体例を示しておこう。

前ページと同じく、* を付した単語は、単数形と複数形で発音が大きく異なるもの。

不規則語尾

 男性名詞・女性名詞は -ы/-и、中性名詞は -а/-я の語尾になるのが規則だが、それ以外の語尾をとるものも少なくない。これが文字通りの不規則変化である。
 とはいえ、それなりの規則性はないでもない。具体的には、不規則語尾をとるのはほぼ男性名詞に限定されるし、その不規則語尾は -а/-я である。女性名詞で不規則語尾をとるものは存在しない。中性名詞には例外的に不規則語尾をとるものがあるが、ごく小数である。

語幹変化

 «語幹» とは、変化語尾(-ы/-и とか -а/-я)を除いた、«変化しない幹の部分» を指す。その変化しないはずの部分が変化している特異な例である。

特殊語尾

 以上、不規則変化を見てきたが、結局不規則変化と言っても、変化語尾自体は -ы/-и か -а/-я のどちらかである。しかし以下のものは、変化語尾自体が例外的である。

 これは、

という、人を表す接尾辞のパターンである。アクセントの位置が移動するタイプと移動しないタイプに分けられる。

規則変化と不規則変化の使い分け

 不規則変化をする名詞には、同時に規則変化もする、というものが少なくない。その場合、意味や文体によって規則変化と不規則変化を使い分ける。たとえば

 これを見てもわかるとおり、一般的に、規則変化は特殊な意味や古語で使われ、日常的に用いられるのは不規則変化の方である。ゆえに、特に学習し始めの段階では、これらの単語の規則変化を覚える必要はない

#20 名詞の複数形は、いちいち辞書で確認しないとわからない。

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最終更新日 28 02 2015

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