ロシアにおける時間帯

ロシア連邦は9つの時間帯に分割されている。しかし途中で1時間飛ばしているので、東端と西端との時間差は9時間ではなく10時間。
 カナダは6、アメリカは6(ハワイは含むが、サモア、ミッドウェイ、ヴァージン諸島を除く)、オーストラリア・メキシコ・インドネシア・キリバスは3、ブラジル・カザフスターン・モンゴル・スペイン・コンゴ共和国・ミクロネシアは2。グリーンランド(デンマーク領)は4。
 逆に、中国はあれだけ広いのに全土でたったひとつの時間帯を使用している。

時間帯

 もともとソ連では11の時間帯に分割されていたが、2010年、2つの時間帯が廃止される。さらに2011年に夏時間が固定化され、別の言い方をすると夏時間が廃止された代わりに各時間帯が1時間ずらされた。

時間帯名称連邦構成主体経度
UTC±0(西ヨーロッパ時間)
UTC+1(中央ヨーロッパ時間)
UTC+2(東ヨーロッパ時間)
UTC+3カリーニングラード時間カリーニングラードE 21°
UTC+4モスクワ時間残りすべてE 38°
UTC+5サマーラ時間(廃止)E 50°
UTC+6エカテリンブルグ時間オレンブルグ、クルガン、スヴェルドロフスク、チェリャビンスク、テュメニ、バシュキール、ペルミ、ハントィマンシ、ヤマロネネツE 61°
UTC+7オムスク時間アルタイ、アルタイ共和国、ケーメロヴォ、オムスク、トムスク、ノヴォシビルスクE 73°
UTC+8クラスノヤルスク時間クラスノヤルスク、トィヴァ、ハカスE 92°
UTC+9イルクーツク時間イルクーツク、ブリャート、(日本)E 104°
UTC+10ヤクーツク時間アムール、ザバイカーリエ、ヤクート西部E 130°
UTC+11ヴラディヴォストーク時間サハリン島、ハバロフスク、プリモーリエ、ヤクート中部、ユダヤ自治州E 132°
UTC+12マガダーン時間カムチャートカ、クリール諸島、マガダーン、ヤクート東部E 150°
UTC+13カムチャートカ時間(廃止)E 158°

 なお、上記表において «経度» とは、各時間帯の名称に冠されている都市のおおまかな東経(カムチャートカ時間の場合はペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイ)。
 360° で24時間なので、計算上は経度15° で1時間ということになる。つまりグリニッジが UTC±0 である以上、東経61° に位置するエカテリンブルグは UTC+4、東経92° に位置するクラスノヤルスクは UTC+6、東経150° に位置するマガダーンは UTC+10 となるはずだ。ところが実際には2時間もズレている。これは、大まかに言って、1992年に法令時間が導入され(これでプラス1)、2011年に夏時間が固定化された(さらにプラス1)ためである。

 もともとヨーロッパ・ロシアは、飛び地のカリーニングラードを除いて3つの時間帯に分割されていたが(モスクワ時間、サマーラ時間、エカテリンブルグ時間)、2010年にサマーラ時間が廃止されたため、モスクワ時間とエカテリンブルグ時間のふたつだけとなったわけである。とはいえ、途中の1時間をすっ飛ばしているため、モスクワとエカテリンブルグの間の時差は従来通りである。

 ちなみに、360° で24時間なので、経度15° で1時間。つまり純粋に計算上からは、UTC+4 はサマーラではなくエカテリンブルグであるべきである。モスクワはぎりぎり UTC+2 と UTC+3 との中間に位置しているが、UTC+4 からズレが生じていることになる。
 このため、東京の経度はおおまかに東経140° だが、東京より西にあるヴラディヴォストークが、東京より1時間早いことになってしまっている。
 東経158° にあるペトロパーヴロフスク=カムチャーツキイは、計算上は UTC+10 であるはずだ。カムチャートカ時間が廃止されたためズレは小さくなったものの、逆に西経170° に位置するロシアの東端チュクチ半島は、UTC+13 でもいいはずなのに UTC+11 となり、ズレは2時間と広がってしまっている。つまり、チュクチ半島先端部では、太陽が南天にあるのにまだ午前10時ということになる。
 もっとも、この程度の行政上の無理はどこの国でもしていることであるが。

特殊な時間

夏時間

 夏時間とは、夏場だけ時計の針を1時間早めるというもので、主に経済的な理由から各国で導入されている制度である。
 ロシア・ソ連では1917年から1930年まで、そして1981年から2011年まで、夏時間が導入されていた。ちなみに何月から何月までかは時期により異なる。

法令時間

 1930年、夏時間から «通常時間» へ戻らないことが決定され、ソ連では常時夏時間が使用されることになった。もはやこれは «夏時間» とは認識されず、«法令時間» と呼ばれる。
 1981年に改めて夏時間が導入された。すでに本来の «通常時間» からプラス1となっていたのに加えて、夏場はさらにプラス1されることになった。つまり、夏場は合計プラス2時間 «通常時間» から早まることになった。
 1982年から86年にかけて、いくつかの地方では事実上法令時間は廃止されていった。最終的にロシア全土で廃止されたのは1991年。
 しかし同じ1991年、ソ連崩壊の直前、法令時間は復活。とはいえかなり細かい例外が設けられた。

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最終更新日 10 07 2011

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