ロシア・ソ連の国旗

こんにち、国家のシンボルとしておそらく最も目立つのが国旗だろう。
 とはいえ、個人的には、星条旗やユニオンジャック、日の丸ならともかく、三色旗というのはどれも似たりよったりで、あんまりシンボルとして個々の国家を区別する役に立っているとも思えなかったりもする。
 そういう意味では、ソ連の赤旗というのは非常にインパクトがあった(もっともほかの共産主義国家も似たような赤旗だったりしたが)。ノスタルジーでも何でもなく、単純に «ほかと区別させる» という国旗本来の役割からすると、いまの三色旗より赤旗の方がいいような。

 別に専門家でも何でもないので間違っているかもしれないが、国旗というのは、その起源がふたつあるように思われる。ひとつは戦場における幟・軍旗であり、もうひとつは海上で艦船の掲げる旗である。どちらも敵味方を区別するため、その部隊・艦船がどこの国に所属しているかを示すため、あるいは皇帝や王がその場にいること、その船に乗船していることを示すためのもので、中世から(さらにさかのぼれば古代ギリシャ・ローマ時代から)使用されていた。
 しかしこれがヨーロッパ各国で国旗として様式化されて一般化したのは19世紀に入ってから。

 ここでは、ロシアにおける国旗の歴史を、いちおう次のふたつに分けて論じている。

  1. 帝政時代の国旗
  2. 帝政崩壊後の国旗

 使用された旗をごく大雑把に分類してみると次のようになる(以下、本文当該部分にリンク)。

  1. イコンを描いた旗
  2. 双頭の鷲を描いた旗
  3. 白青赤の三色旗
  4. 聖アンドレイ旗
  5. 紋章色から成る旗
  6. 赤旗

 また、時期で分類すると次のように分けることができよう。

  1. 国旗以前
  2. 国旗乱立期
  3. 帝国国旗の制定
  4. 臨時政府
  5. ソヴィエト時代
  6. ロシア連邦

 ちなみに、ロシア語には旗を意味する単語が複数存在する。
 «フラーグ флаг (flag)» は言うまでもなく英語から来た言葉だが、手旗信号に使う旗など特殊な用途を持った旗に使うのが一般的。ただし、国旗という言葉にはこれを使い(«ゴスダールストヴェンヌィイ・フラーグ Государственный флаг (Gosudarstvenny flag)»、つまり «国家のフラーグ»)、«ゴスダールストヴェンノエ・ズナーミャ Государственное знамя (Gosudarstvennoe znamya)» という言い方は存在しない。
 «ズナーミャ знамя (znamya)» というのが旗を表す最も一般的な単語であり、«赤旗» などという場合にはこちらを使用する。«フラーグ» を含めた旗の類全般を指す言葉としても使用されるが、おそらく «フラーグ» の代用にはならない(ほかの単語の代用にはなる)。ちなみに、英語の banner はロシア語では通常 «ズナーミャ» と訳されている(ネット上の «バナー» は別)。
 «シュタンダルト штандарт (shtandart)» はほぼ英語の standard に相当するが(由来は英語ではなくドイツ語)、主に皇帝の存在を示すために用いられる旗を指す。
 «ヴィンペル вымпел (vympel)» は本来海軍で使用される特殊な旗(«しょう頭旗» というらしい)を指す。これは燕尾形のものであるらしく、よって «ヴィンペル» はこのような三角形(時には盾形)をした旗や幟のたぐいを表す。
 «ホルーグヴィ хоругвь (khorugv')» は、行進の際に先頭を歩む幟を指すのが一般的だと思う。
 «ステャーグ стяг (styag)» は、こんにちでは基本的には雅語として使われている。もともとは軍事的な目印に使われた幟を指した。

 こんなサイトもあるので、いちおう参考までに(ФЛАГ РОССИИ)。

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最終更新日 17 01 2013

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