ロシア語の日本語表記について

わたしは、ロシア語の発音をカタカナで正確に表記するなどというのは不可能だと考えている。日本語の「ア」とロシア語の「а」とでは、厳密には発音が違うからである。ロシア語に限らず、日本語以外の言語の発音をカタカナ(ひらがなでもいいが)で再現するなどというのは、どだい無謀なのだ。
 しかしそうも言っていられないので、ここでは以下の一覧に則りカタカナに置き換える。原則的には慣習に従ったつもりだが、慣習自体が本来明確な規則を持たないものなので、慣習とはずれる表記もあろうかと思う。

 е と э は一切区別しない。ゆえに「メドヴェージェフ」ではなく「メドヴェーデフ」、「シェレメーチェフ」ではなく「シェレメーテフ」(ただし「シェレメーティエフ」は別の綴り)。最近「エカテリーナ」ではなく「エカチェリーナ」といった表記もネットで目にすることがあるが、それだったら「アレクサンドル」ではなく「アリェクサンドル」とすべきだし、「メドヴェージェフ」ではなく「ミェドヴェージェフ」とすべきだし(だいたい「ヴェ」ではなく「ヴィェ(?)」)、そもそも「エカチェリーナ」ではなく「イェカチェリーナ」とすべきだ。わたしにはこれは衒学趣味と言うか無駄な足掻きとしか思えないので、すべて「アレクサンドル」、「メドヴェーデフ」、「エカテリーナ」で済ます(なお、「エリツィン」は時々「イェリツィン」と表記してしまっている場合があるかもしれない)。現実に э が使われることはまずないので、е と э を区別する必要性はほとんどない。
 他方、и と ь も事実上区別していない。これについては大いに悩んだが、現実的には обь の表記は об か оби のどちらかと同じにせざるを得ないのだ。母音の有無という観点からすると об と同じにすべきだろうが……。
 また、一部この置き換え表からもはずれた表記をしている場合がある。特に日本語表記が定着している固有名詞(「ロシア」、「モスクワ」等)。逆に、定着している日本語表記を無視して下記原則に固執した場合もある。この辺りは完全に恣意。

ロシア文字から日本語カタカナへの変換一覧
ае/эи/ьоуяыюё+子音/語末
語頭
б-ビャブィビュビョ
п-ピャプィピュピョ
в-ヴァヴェヴィヴォヴャヴィヴュヴョ
ф-ファフェフィフォフャフィフュフョ
г-ギャギュギョ
к-キャキュキョ
д-ディドゥデャドィデュデョ
т-ティトゥテャトィテュテョ
з-ジャズィジュジョ
с-シャスィシュショ
л/р-リャルィリュリョ
м-ミャムィミュミョ
н-ニャヌィニュニョ
х-ヒャヒュヒョ
ж-ジャジェジョジュジョジュ
ц-ツァツェツィツォツィツュ
ч-チャチェチョチュチョチュ
ш-シャシェショシュショシュ
щ-シチャシチェシチシチョシチュシチョシチ
アイエイイイオイウイヤイイイユイヨーイ
固有名詞末の в (及びそれに準ずる場合)
原則として無声子音化して「フ」。
иа、ио、иу
и にアクセントがある場合は「イーア」、「イーオ」、「イーウ」。а、о、у にアクセントがある場合は「イアー」、「イオー」、「イウー」。いずれにもアクセントのない場合は「ヤ」、「ヨ」、「ユ」。
アクセントのある母音
原則として「ー」を添付(ただし多分に恣意的で、特にファースト・ネームでは略した場合が多い)。

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最終更新日 20 05 2013

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