ロシアの国籍

国籍は、血統主義か出生地主義により決まる。血統主義とは、自国の国籍所有者の子には自動的に国籍を与えるというもの。出生地主義とは、自国内で生まれた者には国籍を与えるというものである。
 日本は原則的に血統主義に基づいており、片親が日本国籍の所有者であれば、子供も日本国籍を取得できる。ただし日本は多重国籍を認めていないため、片親が外国籍であったりして外国籍を取得し得る場合は、日本国籍か外国籍かのいずれかを選択しなければならない。また、特別に、無国籍者を出さないため、出生地主義に基づいて、日本で生まれた無国籍者に日本国籍を与えることがある。

 ロシアでは、血統主義と出生地主義の2本立てとなっている。基本的には血統主義に基づいているため、ロシア国籍の親から生まれた子供には、たとえ出生地が外国であっても、申請があれば自動的にロシア国籍が与えられる。

川口悠子国籍取得

ロシア国籍の取得

 ロシア国籍は、以下の場合に与えられる。

  1. 出生
  2. 帰化
  3. 国境変更
  4. 親の選択

 出生に際して、片親がロシア国籍を有していれば、申請によりロシア国籍が与えられる。
 両親のいずれもがロシア国籍を持たなくとも、両親がロシアの永住者であり、かつ外国籍の取得を申請しなければ、ロシア国籍が与えられる。また両親不明の孤児にもロシア国籍は与えられる。

 帰化については、いくつかの要件が満たされればロシア国籍が与えられる。細かい点はともかく、«ロシア領内に5年以上居住していること» が最重要の要件であり、これが満たされれば、特段の問題がない限りロシア国籍は与えられる。川口悠子はこの要件を満たし、ロシア国籍を取得した。
 単純にロシア国籍の者と結婚することによって、ロシア国籍が与えられることはない。

 国境変更に際しては、住民にロシア国籍を選択する自由が与えられる。

 18歳以下の子供については、片親がロシア国籍を取得した時点で自動的にロシア国籍が与えられる(親が申請すれば)。

ロシア国籍の喪失

 ロシア国籍は、以下の場合に喪失する。

  1. 国籍離脱
  2. 国境変更

 国籍離脱の自由は基本的に世界的に認められており(認めていないのはブラジルやアルゼンチン)、ロシアにおいても、本人の意思に基づき自由に国籍を離脱することができる。

 少なくとも現行法上ロシアでは、国家が国民の国籍を剥奪することはできない。

多重国籍

 多重国籍は、種々の弊害を生み得る。すなわち、日本国籍とロシア国籍を持つ者がアメリカで事件を起こした場合、これを外交的に保護すべきは日本政府かロシア政府かが問題となる。また、日本国籍とロシア国籍を持つ者がロシアで罪を犯した場合、ロシア国民として裁かれるのか、日本国民として日本政府が擁護に乗り出すのか、という問題が生じ得る。このため、多くの国では多重国籍を認めていない(日本の場合)。認めている場合でも、条件付きであったり、事実上の黙認(アメリカの場合)であったりすることがほとんどである。

 ロシアは、法的に多重国籍を認めている。おそらくこれは、ソ連崩壊に伴い、大量の «外国居住のロシア人» と «ロシア居住の外国人» が生じたためだろう。
 ただし、ただ単にロシア国籍のほかに外国籍を持っている、というだけでは、事実上多重国籍者扱いしない。ロシア国内ではロシア国民であり、外国籍は単純に無視されるのである。上記のように外国で問題が発生した場合でも、ロシア国民としてロシア政府が外交的保護を与える(ただしこの点、詳細は法的に定められていないので、本当にそうなるかどうかは不明)。
 多重国籍に関する協定を結んでいる国の国籍を持つ多重国籍者の扱いは、その協定に従う(厳密にロシアの法的な意味では、これを多重国籍と呼ぶ)。ちなみに、ロシアがこのような協定を結んでいる国は、タジキスタンとトゥルクメニスタンだけである(トゥルクメニスタンは2003年に事実上協定を破棄した)。
 なお、多重国籍者は国家公務員にはなれない。

 ロシアは多重国籍を認めているので、たとえば事実上多重国籍を黙認しているアメリカと、ふたつの国籍を持つことが可能である。しかし日本は多重国籍を認めていないため、川口悠子はロシア国籍を取得するにあたり日本国籍を放棄せざるを得なかった。

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最終更新日 08 11 2011

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